研究分担者 |
ちょ 斗そっぷ (ちょ 斗燮) 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 助教授 (20262834)
玉木 欽也 青山学院大学, 経営学部, 教授 (40188420)
園田 茂人 中央大学, 文学部, 教授 (10206683)
安西 幹夫 福島大学, 経済学部, 教授 (60202777)
佐久間 賢 中央大学, 総合政策学部, 教授 (30247308)
周佐 喜和 横浜国立大学, 経営学部, 助教授 (50216149)
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研究概要 |
日本多国籍企業の現地化の課題というテーマをもつ本研究計画は,平成7年,8年,9年の3ヶ年計画で遂行された。本研究計画の研究目的を達成する為,第1年目は東アジア,第2年目は米国,第3年目は欧州に立地する日系の訪問調査計画を立てた。なるべく多くの日系企業を訪問するため,大体3グループにわかれて調査を実施することにした。このため共通のインタビューガイド(80余の質問項目)を準備して現地調査を行なった。さらにインタビュー時間に制約もあるので,アンケート票(2項目),現地人マネジャーについての質問票(19項目)に対する回答の輸送を依頼した。 本調査によって調査した日系企業は,東アジア58社,米国34社,欧州35社にのぼった。 本調査の主題は,日本多国籍企業の現地化であるが,それは具体的に言えば,日系生産拠点に移転される日本型経営システムが現地企業の経営システムあるいは現地の経済・社会条件との間に相互に作用し,時に両者の顕在的,潜在的葛藤を生み出す過程とみることができる。 この場合東アジアには現地企業独自の経営システムが,韓国などを除くと,まだ十分形成されていないこともあり,一般に経営の現地化が高い企業ほど,日本型経営の基幹部分を理解する現地人マネジャー・技術者を育て,日本型経営をより定着させていく傾向があることがわかった。他方米国さらに欧州では,移転される日本型経営システムと現地従業員が経験あるいは知識として取得している米国型・欧州型経営システムとの間に,相互作用が生まれる。この場合両者は全面的に対立するというよりは,日本型経営のうち,現地従業員が受容する可能性が高いものとそうでないものとにある程度分かれる傾向があることがわかった。若干具体的にいえば,企画・設計を除く生産関連の諸領域さらに資材・部品調達関連の領域においては,日本型システムはかなり定着しつつあるのに対し,人事労務管理ではより業績志向的評価が重視されている。この意味においては,日本型システムの中でも,普遍的に適用可能なもの=日本企業の競争優位の源泉となるものと,そうでないものとに分かれるという結論を得ている。 本研究計画の研究成果の一部は,平成10年4月に「日系企業 in 東アジア」として出版される。米国、欧州の日系企業の調査についても,その成果を刊行する予定である。
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