研究課題/領域番号 |
07041087
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
新藤 静夫 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (70058014)
|
研究分担者 |
ALSHARHAN A. UAE大学, 理学部, 教授
竹下 祐二 岡山大学, 環境工学部, 助教授 (90188178)
近藤 昭彦 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 助教授 (30201495)
佐藤 芳徳 上越教育大学, 学校教育部, 助教授 (40143185)
井上 光弘 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (90032309)
北岡 豪一 京都大学, 理学部, 助教授 (30093230)
|
研究期間 (年度) |
1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
1995年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
|
キーワード | アラブ首長国連邦 / 乾燥地域 / 地下水涵養機構 / 地下水質 / 水収支 / 地下水管理 / 地下ダム / 地下水シミュレーション |
研究概要 |
1.研究目的 年間降雨量が可能蒸発散量よりはるかに少ないような乾燥地域で、地下水涵養がどのような機構で行われているのかということは学術的な面からのみならず、このような地域での地下水開発のありかたを検討する上で重要である。数年に1回という頻度で発生する大降雨時に涵養されると云う説があり、また平常の降雨でも、いわゆる選択的浸透経路からの集中的な涵養も行われていると云う考えもある。それらの細部機構はまだ解明されていない。この研究では、山岳地を背部に控え、前面に砂漠が広がるアラブ首長国連邦の東部地域を対象として、上記の課題に迫ろうとするものである。研究目標を達成するため、次の項目を設定して作業を進めた。 2.研究内容 (1)地下水涵養機構-人工降雨実験(自然降雨を含む)による (2)洪水の規模・頻度の推定-洪水堆積物(掘削調査)による (3)水文地質構造-ボーリング記録,踏査による (4)地下水の涵養域、滞留時間の推定-安定同位体,放射性同位体、一般水質分析による 3.研究成果 調査はこの地域の雨期に合わせて、平成8年2月15日に日本を出発し、3月5日帰国する間の、20日間に集中して実施した。上記(1)に関しては、砂丘地域では砂丘の浸透性が大きい一方、乾砂層の形成によって保水性が極めて高くなっていること、また砂丘は天然の"貯水池"ともいえ、地下水涵養に貢献していることが推定された。(2)に関しては、特にワジ地域で実施し、地下水涵養に貢献しているワジと、砂丘の移動によって、上流水源地が塞がれ、いわば"死んだ"ワジのあることが明らかになったこと、また掘削調査により、洪水堆積物が明確に特定できることが明らかになった。(3)に関しては山岳地域(オ-マン山脈)から山麓斜面-扇状地-ワジ平原-砂丘地帯を結ぶ方向での水文地質構造を明らかにすることが出来た。なおここでは衛星画像のランドトル-スも同時に行ない、今後のこの分野でのリモートセンシングの活用に資する成果を得た。 (4)に関しては、山岳地域から海岸地域にかけて、広範囲に分布している深井戸から200本を越す水資料を採取した。一般水質からは、上記の方向に形成されている地下水流動系と対応するかたちの水質進化が認められ、放射性同位体からは、地下水の滞留時間がワジとその周辺地域で短く、その周辺で大きくなる傾向が認められた。つまり地下水の涵養は主にワジ流路から行われ、上記(2)の結果をあわせて、それは洪水時に集中的に行われていることが推察された。このことに関しては、そのような事実の裏付けとして地下水位変動などの連続測定が必要であるが、今回は限られた調査期間のため、実施できなかった。
|