大強度粒子工場における反陽子・k中間実験に関する調査研究

• 研究課題/領域番号: 07041088
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 学術調査
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 杉本 章二郎 東京大学, 原子核研究所, 教授 (20044753)
• 研究分担者: LITTENBERG L BNL研究所, 上級研究員 ; WINSTEIN Bru シカゴ大学, 物理, 教授 ; EADES John CERN研究所, 上級研究員 ; 今里 純 高エネルギー物理学研究所, 教授 (40107686) ; 山崎 良茂 高エネルギー物理学研究所, 教授 (90011759) ; 福田 共和 東京大学原子核研究所, 助教授 (50116092) ; 矢崎 絋一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (60012382) ; 今井 憲一 京都大学, 理学部, 教授 (70025493) ; 政池 明 京都大学, 理学部, 教授 (40022587) ; 山中 卓 大阪大学, 理学部, 助教授 (20243157) ; 岸本 忠史 大阪大学, 理学部, 教授 (90134808) ; 江尻 宏泰 大阪大学核物理研究センター, センター長 (80013374)
• 研究期間 (年度): 1995
• 研究課題ステータス: 完了 (1995年度)
• 配分額: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円); 1995年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
• キーワード: JHP / 大型ハドロン計画 / 粒子工場 / Kaonファクトリー / 反陽子 / K中間子 / 陽子シンクロトロン / 大強度粒子線

研究概要

大強度陽子ビームにより生成された大量の反陽子、K中間子等の二次、三次粒子を用いて原子核/素粒子物理のみならず、幅広い周辺分野の研究を飛躍的に発展させようとする次世代の粒子工場計画は、国際的にその重要性と緊急性が認識されてきており、その実現が待望されている。国際協力を想定した粒子工場での物理研究の将来の展望と加速器技術開発の現状を検討するために本国際学術研究課題は立案された。その後国内において大型ハドロン計画の50GeV-PS建設の気運が高まり、この国際的な粒子工場建設計画に対し諸外国からも熱い期待が寄せられている。このようなタイミングで本課題研究を開始することができたのは実に時宣を得たものであった。本研究課題の成果として:
1)平成7年4月以前の本課題採択の内定を受けて、直ちにハドロン粒子工場での物理の将来像を検討するために平成7年3月中旬に東京大学山上会館で開かれた第23回INS国際シンボジュウムにおいて、研究の現状報告の会議プログラムに新たに付け加える形で、日本のJHP計画、フェルミ研究所のFMI計画、BNL研究所のAGS改良計画の報告と検討をアメリカ側分担者も交えて行い、各国から集まった関連研究者と共に議論を行った。検討の報告はリッテンベルグとウインシュタインの名前で議事録に各々掲載されている。
2)平成7年8月下旬に、ジュネ-ブのCERN研究所にて低運動量の大強度反陽子蓄積リングでの実験の現状についての視察調査を杉本、政池、山中がスイス側分担者のイ-デスの協力の下に行った。また、各々の研究グループ(反水素生成、エキゾティック中間子/グル-ボール探索、CP非保存の探索、長寿命反陽子原子研究等)との検討作業を通じて、将来の研究計画と反陽子ビームに要求される性能等、次世代反陽子工場のあるべき姿の調査を行った。これらの検討結果は国内で同時に進行中であったJHPの50Ge V陽子シンクロトロンの概念設計に反映することができ、大きな成果をあげることができた。
3)上記の検討作業と同時に、杉本、山中は、SPS陽子シンクロトロンでのK中間子崩壊実験の調査と討議を行った。中性K中間子の崩壊過程を職人的技術を駆使して超精密に測定することによってCP非保存の探索を行うところは、分担者の山中がフェルミ研究所で行っている実験と同じであるが、検出器、データ収集システム、モニターと解析装置、ネットワーク等の稼働状態を直に詳しく調査することができた。さらに、特殊なビームラインや高度な技術を要する測定器の開発と制作のための研究所のサポート体制について、重要な情報が得られた。
4)12月上旬にCERNにおいて世界の各研究機関を代表する加速器研究者が集まり、CERNの加速器運転状況を調査するとともに加速器に関する学術的検討を行った。(日本側分担者 山崎良成)。一般に大強度電子/陽子加速器による粒子工場は、その科学技術上の重要性から各国が競って建設計画を策定しつつあるが、その実現には多くの開発課題があり、純学術的な国際協力が不可欠にもかかわらず、その設計上の問題点について必ずしも国際的に共通認識が得られているわけではない。このような現状認識を基に検討会が開かれ、より効率的な研究開発が可能となるように意見交換と検討作業が行われた。
5)12月中旬に原子核研究所にて、国内原子核研究者のイニシアティブにより50Ge V物理検討国際ワークショップが開かれ、海外からの参加者40名を含め100名以上の研究者を集めて物理の検討と国際的研究施設としての粒子工場の将来像について集中的に討議が行われた。これらの検討結果は近日中に議事録として出版される予定である。この会議では国内外の研究者の討議を通じて将来の共同研究について共通の認識を深めることができた。
6)BNLのAGS陽子シンクロトロンは現在世界最大の強度を誇っており、ここでのビーム加速、引き出し、二次粒子生成用標的、放射線防御、実験装置、高速データ収集等はJHPで行われる予定の将来の実験にとって必要不可欠な前段階と位置図けられるものである。これらの調査研究は杉本、福田がBNLにてアメリカ側分担者リッテンベルグとBNLのハイパー原子核研究者達の協力の下にAGS大強度ビームを用いて行われ、実験データが収集された。

研究成果

• [文献書誌] T.Yamanaka: "K Decay Experiments at Fermilab Main Injector and JHP" Proc.International Workshop on Physics with 50 GeV-PS (INS-Tokyo,Dec.14-16,1995). (出版予定). (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] S.Fujimaura et al.: "The Effect of the Aberration on the Emittance Growth Revealed in Design Study of LEBT using Magnetic Lense for the JHP RFQ," Proc.10th Symp.Accel.Sci.Tech. 254-256 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] F.Naito et al.: "High-Power Test of the 432 MHz DTL" Proc.20th Linear Accel.Meeting in Japan. 85-87 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] K.Yoshino et al.: "Development of HEBT Analyzer Magnetfor the JHP 1 GeV Linac" Proc.20th Linear Accel.314-316 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] J.K.Ahn et al.: "H-Dibaryon Search with a Scintillating Fiber Live Target." Proc.of 5th Conf on Intersections between Particle and Nuclear Physics. 338. 526 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] J.Eades: "Testing fundamental principles with antiprotons and antipronic atoms" Proc.International Workshop on Physics with 50GeV-PS (INS-Tokyo,Dec.14-16,1995). (出版予定). (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] L.Littenberg: "Kaon decay physics in the 2000's-AGS.FMI.JHP 50GeV-" Proc.International Workshop on Physics with 50GeV-PS (INS-Tokyo,Dec.14-16,1995). (出版予定). (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] B.Winstein: "KAON Physics at the FNAL Main Injecter" Proc.of 23rd INS Symposium on Nucl.and Particle Physics. 395-405 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] A.Masaike: "Present and Future of the Measurement of Time Reversal Invariance with Very Low Energy Particles" Proc.of the IV intenational Symposium on Weak and ELectromagnetis Interactions in Nuclei. 20 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] S.Sugimoto: "Activity foy the K-decay Working Group for JHP" Proc.International Workshop on Physics with 50GeV-PS (INS-Tokyo,Dec.14-16,1995). (出版予定). (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T.Yamanaka: "K Decay Experiments at Fermilab Main Injector and JHP" Proc. International Workshop on Physics with 50 GeV-PS (INS-Tokyo, Dec. 14-16,1995). (To be published). (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] S.Fujimura et al.: "The Effect of the Aberration on the Emittance Growth Revealed in Design Study of LEBT using Magnetic Lense for the JHP RFQ" Proc. 10th Symp. Accel. Sci. Tech. 254-256 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] F.Naito et al.: "High-Power Test of the 432 MHz DTL" Proc. 20th Linear Accel. Meeting in Japan 1. 85-87 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] K.Yoshino et al.: "Development of HEBT Analyzer Magnetfor the JHP 1 Ge V Linac" Proc. 20th Linear Accel.314-316 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] J.K.Ahn et al.: "H-Dibaryon Search with a Scintillating Fiber Live Target." Proc. of 5th Conf on Intersections between Particle and Nuclear Physics. 338. 526 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] J.Eades: "Testing fundamental principles with antiprotons and antipronic atoms" Proc. International Workshop on Physics with 50Gev-PS (INS-Tokyo, Dec. 14-16,1995). (To be published). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] L.Littenberg: "Kaon decay physics in the 2000's-AGS.FMI.JHP 50 GeV-" Proc. International Workshop on physics with 50GeV-PS (INS-Tokyo, Dec. 14-16,1995). To be published. (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] B.Winstein: "KAON Physics at the FNAL Main Injecter" Proc. of 23rd INS Symposium on Nucl. and Particle Physics. 395-405 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] A.Masaike: "Present and Future of the Measurement of Time Reversal Invariance with Very Low Energy Particles" Proc. of the IV intenational Symposium on Weak and ELectromagnetic Interactions in Nuclei. 20 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] S.Sugimoto: "Activity of the K-decay Working Group for JHP" Proc. International Workshop on Physics with 50 GeV-PS (INS-Tokyo, Dec. 14-16,1995). (To be Published). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より