研究課題/領域番号 |
07041090
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
深尾 良夫 東京大学, 地震研究所, 教授 (10022708)
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研究分担者 |
ISHITSUKA Mu アンコン観測所, 所長
WOODMAN Rona ペルー国立地球物理研究所, 所長
小林 茂樹 日本学術振興会, 特別研究員(PD)
平 朝彦 東京大学, 海洋研究所, 教授 (50112272)
山本 明彦 北海道大学, 理学部, 助手 (80191386)
河野 長 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20011596)
MUTSUMI Ishi アンコン観測所, 所長
RONALD Woodm ペルー国立地球物理研究所, 所長
ISHIZUKA Mu アンコン観測所, 所長
MONGE Felix ペルー国立地球物理研究所, 室長
WOODMAN Ron ペルー国立地球物理研究所, 所長
CHAN Manuel ペルー国立地球物理研究所, 前所長
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
10,600千円 (直接経費: 10,600千円)
1996年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
1995年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | アンデス山脈 / 重力異常 / ペル- / 山脈形成 / 地形補正 / ブ-ゲ異常 / プ-ゲ-異常 / 山脈隆起 |
研究概要 |
ペル-国立地球物理研究所(IGP)には、同所がこれまで40年以上かけて測定してきたペル-全土の膨大な重力データが眠ったままになっている。我々は過去にペル-アンデスの重力測定を実施するとともにIGPに協力して同所の重力データの綿密なチェックを行なった経験がある。本計画では、北海道大学理学部所有の重力計を用いて、(1)IGPの全重力データを野帳にまで遡って整理し、(2)各測線の基点における重力値を再決定することにより、信頼度の高い重力値の結合を行なって、(3)ペル-全土の完全な重力値リストを作成する。さらに(4)最近ようやく完成した全国地形図を用いて全測定点の地形補正値を計算して、(5)ペル-全土のブ-ゲ異常図を作成し、また、(6)標高四千メートルをこえるアンデス高原の枕状溶岩を含む堆積層の地質調査を実施し、(7)ブ-ゲ異常図とあわせてアンデス山脈隆起のメカニズムを考察する、ことを目的とした。平成7年度および平成8年度における現地調査においてこれらの目的を達成するために以下の項目を実施した。 重力計および重力データの検定のためにロスアンジェルスにてカリフォルニア州立大学UCLAを訪問し、大学内の重力基準点(国際重力基準網)で重力測定を実施した。またリマ到着後、空港内の重力基準点で重力測定を実施し、この基準点と滞在予定(リマ)の宿舎に設けた動点とを結合した。重力測定には北海道大学理学部所有のラコスト重力計G791(1台)およびシントレックス重力計CG-3M(2台)の合計3台を用いた。 次にペル-側研究者と協力してIGP所有の野帳の総チェックを行ない、データのチェックおよびデジタル化を完成した。これらデジタル化されたデータをもとに、使用された重力計とその定数を調査し、可能な限り正しい定数表の入手に努め、重力値換算における準備に万全を期した。またIGPの各観測ルートにおける観測点分布と観測回数を参考にしながら主にそれらルートの結節点を中心として、今回、日本側であらたに重力の再観測を行なった。新たに観測された重力値はリマ、クスコなどの重力基準点を参照して絶対重力値に変換され、それらのデータを元にして、IGPデータの絶対重力値を求める作業を行なった。 IGP側の野帳を調べた結果、IGPの重力データの一部には、(a)使用した重力計が不明である、(b)観測した位置の座標に誤りがある、(c)何度もリセットを繰り返したにもかかわらず、再測が行なわれていない、(d)観測ルートが閉環していない、(e)観測ルートでリファレンス点を含む測定がなされていない、などの問題点があり、最終的な絶対重力値決定には、可能な限りの資料を利用した。最終的には各観測点間のドリフト、重力値をすべて独立したものとして扱い、最小自乗法によって各観測点の絶対重力値を決定した。うまく決定できたIGPの重力点数は約6,000点余である。 地形補正に関しては南アメリカ全土が3分×3分にわたってデジタル化された地形データDTM3を用いた。DTM3を日本で通常用いられているKS-110のフォーマットに変換した後、ペル-全土の地形データを作成して計算を実行した。ただし、元の地形データ(DTM3)がやや粗いため、補間したデータの精度に問題があるケースがあり、観測点の極近傍に関しては誤差が大きくなる可能性があるので、極近傍の計算結果のみを最終的な地形補正値から除いて処理した。 これらの作業を行なったのち、最終的にIGPのデータの大部分を使用可能な状態にすることができた。今回、これらのデータを使って、アンデス山脈を中心とした地形補正済みのペル-全土のブ-ゲ異常図を作成した。このブ-ゲ異常図は、使用した地形データがやや粗い点を除けば、世界で初めて作成されたものであることは特筆に値するものである。本計画で得られた重力データおよび重力異常分布は地球科学的な基本資料としてきわめて重大な意味を持ち、山脈形成論への貢献は測り知れないものとなった。
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