研究課題/領域番号 |
07041101
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安藤 雅孝 京都大学, 防災研究所, 教授 (80027292)
|
研究分担者 |
PUNONGBAYAN レイムンド フィリピン火山地震研究所, 所長
YUMUL Gracia フィリピン大学, 地球科学科, 教授
MELOSANTOS A フィリピン火山地震研究所, 研究員
巽 好幸 京都大学, 総合人間学部, 教授 (40171722)
大倉 敬宏 京都大学, 総合人間学部, 助手 (40233077)
渋谷 拓郎 京都大学, 防災研究所, 助手 (70187417)
西上 欽也 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00189276)
久家 慶子 京都大学, 理学部, 助手 (50234414)
PURRONGBAYAN Raymundo Philippine Institute of Volcanology and Seismicity
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
11,200千円 (直接経費: 11,200千円)
1996年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1995年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
|
キーワード | フィリピン / マコロード回廊 / GPS測量 / 地殻拡大 / リフティング / カルデラ / マコロード / リフト / 衝突 / 地震観測 / GPS観測 / 三次元構造 / 東シナ海 |
研究概要 |
フィリピン諸島では、東西両側からのプレートの沈み込みによって島弧が形成されている。西側の島弧はさらに二つ(バタン弧とミンドロ弧)に区分することができ、両者の接合部がマコロード回廊と呼ばれている。これは島弧に垂直な(北西-南東)方向に広がる幅約40Km、長さ約150Kmの地域で、ここには、現在でも活発なタール火山やバナハウ火山をはじめとして、第4紀に活動した火山が点々と分布している。 このマコロード回廊における地震および火山の成因を調べるために以下の調査・研究を行った。 1)マコロード回廊におけるリフティングおよび南北方向への地殻拡大の有無を検証するため、1996年4月と9月に、ルソン島、ミンドロ島、マリンドゥケ島内の計13カ所において、24時間連続30秒サンプリングのGPS観測を3〜6日間行った。収録にはAshtech Z-XIIおよびTopcon GP-R1DYをもちいた。また、この観測では設置誤差を小さくし測定精度を高めるため、三脚ではなく建築物の屋上にボルトを固定しそれにGPSアンテナを設置する方法をとった。 そして、IGSの観測点であるマニラのデータを加えて基線解析を行い、変位ベクトルを求めたところ、マコロード回廊が年間2cmもの速度で北西-南東方向に拡大している可能性があることが明らかになった。ただし、ルソン島南部は日本に比べ20度前後低緯度にあり天空上におけるGPS衛星の配置は日本と比較して若干広い領域を覆っているため、同じ長さの基線長の場合精度が向上することが期待されたが、1日ごとの座標値は日本における観測結果を比べると再現性が悪くなっている。これは水蒸気の分布などの気象条件に起因するものと考えられる。そこで拡大速度をより正確に求めるため、1997年1月〜2月にルソン島、ミンドロ島の計9カ所において5日間のGPS観測を行った。なお解析にはBernese Ver.3.4を用いている。 2)フィリピン中部では、マニラ海溝およびネグロス海溝に沿って西側から南シナプレートが沈み込んでいるが、その間にもプレートが存在しているかどうかは明かではない。そので、そのプレートの有無とマコロード回廊生成時のテクトニクスとの関係を明らかにするために、1996年1月から10月まで、ルソン島、ミンドロ島、マリンドゥケ島、パナイ島、シブヤン島、タブラス島内の9カ所においてトリガー方式による地震観測を行った。観測点間の距離は60〜90kmである。各観測点には固有周期0.5秒の速度型地震計が設置され、収録にはKinkei EDR-1000が用いられ、トリガーされた地震波形が12bit、100Hzサンプリングで収録された。なお、2カ所では3成分観測をおこなっている。また、時刻の精度をたかめるため、各観測点で標準時刻信号であるBPMを受信し内部時計の較正に使用した。 その結果、Abra de llogやBatangasでは後続波をもつ地震波形がいくつか得られたが、3点以上で同時に記録された地震がなく、10カ月の観測期間中には震源決定できるような有効なデータを得られなかった。またTablasではS-P時間の短い地震波形が得られ、周辺に地震活動があることが確認されたが、震源決定には至らなかった。 3)大規模カルデラ形成時のおもに珪長質からなる大火砕流の噴火は、大災害を引き起こす場合がしばしば存在するがその噴火に至るプロセスの理解は十分でなく、火山学的にも防災の意味でも興味深い重要な対象である。マコロード回廊中に存在するタール火山は過去に災害の記録を持つ第四紀のカルデラであり、このようなプロセスの理解のための典型的なフィールドの一つであると考えられる。 そこで、カルデラ形成時の噴火プロセスおよびマコロード回廊下の供給マグマ源の深さ、マグマ供給の進化史を明らかにするため、タール火山およびマコロード回廊中に存在し同タイプのカルデラ火山であると思われるラグナ湖の周辺13カ所において火山岩の採集を行なった。そして、微量元素分析、K-Ar年代測定などの地球年代学的・岩石学的研究のための基礎試料を得た。
|