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熱帯アフリカサヴァンナ林の有用植物の探索とその生理活性物質の化学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 07041139
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関京都大学

研究代表者

大東 肇  京都大学, 農学部, 教授 (80026583)

研究分担者 SABUNI Georg  セレンゲティ野生物研究所, 主任研究員
梶 幹男  東京大学, 農学部, 教授 (00152645)
小清水 弘一  近畿大学, 生物理工学部, 教授 (90026518)
研究期間 (年度) 1995
研究課題ステータス 完了 (1995年度)
配分額 *注記
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1995年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
キーワードチンパンジー / 薬用植物 / Vernonia amygdalina / Trema orientalis / 寄生虫 / マラリア / 住血吸虫症 / 抗生物物質
研究概要

熱帯林は地球上で最も生命活動の盛んな地域である。多様な生物種が存在する熱帯林の秩序維持には様々な因子の関与が考えられるが、植物成分(生理活性物質)の役割も見逃せない。本研究では、アフリカサヴァンナ林に生育する植物の有する各種生理的機能を評価し、有用化学物質の探索・究明を行い、生理活性天然物資源としての重要性を明らかにすることを目的とした。この研究の成果は、単に有用成分の取得に留まらず、当熱帯林の生物生態の解明やその保全にも貢献するものと考えられる。
平成7年10月27日より11月22日にかけ、東アフリカ・タンザニア国を訪れた。同国内マハレ山塊国立公園を主調査地とし、有用植物の探索を始めた。すでに平成3年度に本科学研究費補助金(国際学術研究)の援助を受け同地で調査を実施し、その後の研究から顕著な生理活性成分を有する植物がリストアップできている。また、同地では京都大学理学部・西田利貞教授グループが野生チンパンジーの生態を観察しておられる。我々のチームは最近、西田らの長年の観察記録に基づき、野生チンパンジーの薬用的利用植物に興味を抱いている。そこで、西田グループからの示唆により、この範中に入る植物を採取することにした。さらに、現地住民と接触し、植物利用の実際について聞込み調査をし、有用と考えられる植物を入手することとした。以上の三点を主眼に採取した植物については、それぞれ標本を3部作成する一方、日本での生理活性試験および化学研究に供する試料として強制乾燥し、同国科学技術庁ならびに輸出局の許可の下日本へ持ち帰った。なお、ダンザニア国に赴く前後に、それぞれ王立Kew植物圓(ロンドン)、およびパリ自然史博物館(パリ)を訪れ、班員梶の主導により各種植物の同定を行った。さらに、フランスではマルセ-ユ大学生薬学および寄生虫学部に立ち寄り、野生霊長類の薬用植物に関する研究において、抗熱帯性寄生虫活性の検定を分担していただくなど共同研究体制を整えた。
今回の調査で、チンパンジーが薬用的に利用していると推察できる植物12種、現地民間薬用植物3種、その他4種を採取した。また、この内16種が同定できた。
帰国後、それぞれの一部を各種溶媒で抽出し、野生チンパンジー薬用植物(Erythrina abyssinica,Aspilia mossabicensisなど12種)については抗住血吸虫活性、抗マラリア、抗赤痢アメーバーなど抗寄生虫活性、さらには各種酵素阻害活性、細胞毒性活性、昆虫や微生物に対する抗生物活性、活性酸素産生(消去)活性などの生理活性試験に供した。また、その他の植物についても順次上記の各種試験に提出中である。
これまでのところ、抗寄生虫活性に関する結果が全体的に整いつつある(一部は前回の試験結果の再確認:今回の試料にて活性物質の精製・単離を行う)。チンパンジーの薬用植物12種中9種に何らかの抗寄生虫活性が認められるとの興味ある結果が得られた。抗住血吸虫活性として特筆される植物は、E.abyssinica、Trema orientalis、Stephania abyssinica、Combretum molle、Vernonia amygdalinaであった。抗マラリア性植物としては、E.abyssinica、A.mossambicensisが顕著なものであった。E.abyssinicaには抗赤痢アメーバー活性も認められた。なお、V.amygdalinaについては"野生霊長類の薬用植物利用仮説"を実証するため、現在我々のグループが最も力を入れている研究である。そこで、これまでの結果を背景にさらに詳細に活性遊離ステロイドの研究を行った。その結果、新規なステロイドが数種単離・構造決定できた。現在これら化合物の抗寄生虫活性を検定中である。
その他興味ある活性を発現した植物として、E.abyssinicaとSenna spectabilisにアロマターゼ阻害活性が、S.spectabilisやS.abyssinicaには活性酸素産生抑制活性が、T.orientalisに昆虫生育阻害活性が認められた。

報告書

(1件)
  • 1995 研究成果報告書概要
  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 大東肇: "野生チンパンジーの食と薬" 日本食品科学工業学会誌. 42. 859-868 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 大東肇: "野生チンパンジーの薬草利用に関する化学生態学的アプローチ:Vernonia amygdalinaを例として" アフリカ研究. in press.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 高橋友則: "野生チンパンジーの薬用植物、Vernonia amygdalinaに存在するステロイド物質の検索とそれらの抗寄生虫活性" 日本農芸化学会誌(臨時増刊). 70. 52-52 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Hajime OHIGASHI: "Medicinal use of plant diets by chimpanzees in the wild (in Japanese)" Nippon Shokuhin Kogakkaishi. 42. 859-868 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Hajime OHIGASHI: "Chemical ecology of medicinal use of Vernonia amygdalina by chimpanzees (in Japanse)" Africa-Kenkyu. (in press). (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Tomonori TAKAHASHI: "New steroids from Vernonia amygdalina, a medicinal plant used by chimpanzees in the wild, and their antiparasitic activities (in Japanese)" Nippon Nogeikagaku Kaishi. 70 (Suppl.). 52-52 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要

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公開日: 1995-04-01   更新日: 2016-04-21  

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