研究課題/領域番号 |
07041142
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
山本 太平 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (00032102)
|
研究分担者 |
AGODZO Samps ガーナ国科学工学大学, 農業工学, 講師
KESHAVARZ Ab イラン国農業工学研究所, 所長
姚 洪林 中国内蒙古林科院, 副院長
鳥井 清司 京都大学, 農学部, 助教授 (40026563)
新村 義昭 鳥取大学, 生物資源科学部, 助教授 (80206333)
甲斐 諭 九州大学, 農学部, 助教授 (70038313)
林 静夫 九州大学, 熱帯農学研究センター, 助教授 (00038316)
駒村 正治 東京農業大学, 農学部, 教授 (60078194)
大槻 恭一 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (80183763)
神近 牧男 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (20032310)
YAO Hong Lin Inner Mongolia Academy of Forestry Science People's Republic of China
ABASS Keshav イラン国農業工業研究所, 所長
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1996年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1995年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
|
キーワード | 気候特性 / 地下水利用 / 河川利用 / 塩類化 / サバンナ帯 / ステップ帯 / 土壌侵食 / 小規模灌漑組織 / 西アフリカ / 東アフリカ / 地表水 / 因子分析 / 牧畜業 / 飛砂防備林 / 地表潅漑法 / 衛星画像 / 大規模農業水利プロジェクト / 期間降水量 / 地下水モニタリング / 持続的発展 |
研究概要 |
本研究の目的は、乾燥地の灌漑農法に伴う砂漠化機構を明らかにし、持続的な灌漑技術について提言を試みることにある。平成7年度は、西アジアからイラン国のク-ゼスタン州、イスファハン州、ファルス州、東アジアから中国の毛烏素砂漠を調査対象にした。平成8年度は、西アフリカからニジェール国とガーナ国、東アフリカからケニヤ国を現地調査した。 毛烏素砂漠とイラン国:毛烏素砂漠はオルドス高原の南部、北緯37〜40°に分布し半乾燥・乾燥帯に属する。主要産業は豊富な地下水依存の定住型牧農業であり、経済体制改革が急速に浸透しつつある。牧農民の生産基盤では、砂丘緑化の拡大と土地生産力の向上のために、新しい緑化と灌漑技術が適用されている。地下水の塩類濃度では一部の地域で化学肥料の著しい影響が認められた。イラン国は北緯30〜36°に分布し、大部分が半乾燥・乾燥帯に属する。歴史的な革命と戦争を乗り切り、農業生産物の国内自給率は灌漑施設や防風林のインフラ整備が進み大きく改善された。各州において河川利用の灌漑農業が盛んであり、灌漑組織の拡大と機能を評価できた。一方圃場と河川の塩類化は一層深刻な様相を示す。 二ジェール国、ガーナ国、ケニア国:二ジェール国は北緯12〜22度に分布し、南から北に乾燥亜湿潤(サバンナ)帯→半乾燥(ステップ)帯→乾燥帯→極乾燥帯に推移する。調査地区はニアメ市周辺でステップ帯に属する。年降雨は500〜800mmで雨期は4月〜9月である。因子分析では雨期の湿潤度は鳥取と同程度、乾期の乾燥度はイラン国と同程度を示し、年間の気象環境の較差が著しい。河川水、伏流水、地下水が豊富で灌漑可能地は多いが、灌漑施設は未整備の状態である。ガーナ国は北緯5〜11度に分布し、主要水源は地表水で水量が豊富である。主要な輸出換金作物はココア、サトウキビ、バナナ、油椰子等であり、国内消費用作物はトウモロコシ、ミレット、ソルガム、稲等である。調査地区のアクラ、クマシは、それぞれ、年2回の雨期を有する海洋サバンナ帯と落葉森林帯、タマレは年1回の雨期を有するスーダンサバンナ帯に属す。落葉森林帯では輸出用木材の無計画な伐採による森林破壊が急速に進み、またサバンナ帯の開発重点プロジェクトでは環境汚染が深刻で、政府の各種対策が強化されている。地形は平坦であり、土壌侵食は風食が多く発生し北部が顕著である。また降雨に対応してガリ水食も多い。ケニア国は南緯5〜北緯5度に分布し起伏の大きい地形を有する。調査地区はナイロビ周辺とマリガート地域でいずれもサバンナ帯に属する。紅茶、コーヒー、麦、黄麻、パイナップル等の広大な灌漑農地が発達している。気象、水資源に恵まれ、灌漑可能地も多い。傾斜地ではガリ侵食が著しい。マリガート地域ではペルケラ灌漑プロジェクトにおいて穀類、野菜、果樹等が年間を通じて積極的に栽培されている。 持続的な灌漑技術:毛烏素砂漠ではこの10数年来における治砂、緑化、灌漑技術の発達の結果、地下水の過大利用と塩類化が憂慮される。有限な地下水利用を想定した効率的な灌漑計画が必要である。イラン国の河川利用方式と塩類化対策として、地域全体の河川・土地利用と塩類化モニタリングを考慮した広域的な灌漑排水計画が必要とされる。アフリカ3国における砂漠化は、人口増加に伴う過大な開発、森林破壊、過放牧、水・土壌管理の不備に伴う農業活動等の人為的要因が主要である。サバンナ地帯における灌漑農業の発展において、(1)森林地が破壊され小灌木林が多いサバンナ地、(2)薪炭林の採取や未熟な農業活動等でサバンナ林地がステップ地、(3)干ばつや過放牧等により植被層が減少し水食・風食等が進みステップ地から砂漠、への変遷が憂慮される。一方土壌侵食は顕著であるが、塩類化は灌漑農業があまり発達していない現在問題点が少ない。3国の特徴はアジアの乾燥地帯に比べ年間を通した植物期間と豊富な降雨量にある。ここで water harvestを適用した小規模灌漑施設について検討した。降雨量、灌漑効率、灌漑水量、作物の水消費量をパラメータに用い、数10アールの灌漑面積を対象にしたタンク灌漑組織(タンク容量、エプロン面積、灌漑方式)が提案される。
|