研究分担者 |
JUNHUI G. 上海自然博物館, 植物研究部, 部長
SIJIUN H. 上海自然博物館, 植物研究部, 部長
PEIGUI L. 中国科学院, 昆明植物研究所, 助教授
MU Z 中国科学院, 昆明植物研究所, 教授
樋口 正信 国立科学博物館, 植物研究部, 研究官 (10189772)
門田 裕一 国立科学博物館, 植物研究部, 主任研究官 (30124184)
柏谷 博之 国立科学博物館, 植物研究部, 室長 (10000142)
土居 祥兌 国立科学博物館, 植物研究部, 室長 (10000134)
近田 文弘 国立科学博物館, 植物研究部, 室長 (60021945)
G Junhui Shanghai Nat.Hist.Mus., Derector
H Sijun Shanghai Nat.Hist.Mus., Derector
L Peigui Kunming Inst.of Botany, Associate Professor
Z Mu Kunming Inst.of Bot., Professor
G. Junhui 上海自然博物館, 植物研究部, 部長
H. Sijun 上海自然博物館, 植物研究部, 部長
L. Peigui 中国科学院, 昆明植物研究所, 助教授
Z. Mu 中国科学院, 昆明植物研究所, 教授
GUANG Q 上海自然博物館, 研究官
PING T 上海自然博物館, 研究官
KUN Q 上海自然博物館, 研究官
PEIGUI L 中国科学院, 昆明植物・研究所, 助教授
ZANG MU 中国科学院, 昆明植物・研究所, 教授
高橋 弘 岐阜大学, 教育学部, 教授 (40021331)
松本 定 国立科学博物館, 実験植物園, 研究官 (80132695)
平山 良治 国立科学博物館, 実験植物園, 研究官 (50124186)
斉藤 寛 国立科学博物館, 動物研究部, 研究官 (00259996)
北山 太樹 国立科学博物館, 植物研究部, 研究官 (20270407)
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研究概要 |
本研究は,国立科学博物館が上海自然博物館と共同で推進する国際学術研究と位置づけられ,植物と菌類に加え動物の研究も実施された.また中国科学院昆明植物研究所とも共同研究がなされた. 調査地域は,揚子河中下流域の山岳,上海付近の海岸,メコン河流域の山岳,四川省と雲南省に連なる横断山脈の山岳である。研究分野は陸上の植物と菌類及び海藻と貝類である. 全体的研究成果としては,7,000点をこえる標本が採集されたことが第一で,これらの標本は日本に初めてもたらされる研究資料である.中国南部の植生が把握され,今後の研究の基礎が得られたことは第二の成果である.また得られた標本には新種が相当含まれている可能性が高いことも成果であり,種子植物のHeterostemma lobulataは1例である.なお国立科学博物館の展示活動に活用される標本や資料も得られた. 本研究の目的に定められた目的別成果は以下のようである. 1.日本列島の植物相とアジア大陸のそれとの比較に関しては,(1)揚子江下流域では日本産植物に似るが異る特徴を持つノイバラなどの種が多く分類学的な再検討を要する,(2)日本産植物と同種とされて来た中国産のものに明らかな別種がある.(ホトトギス属),(3)日本特産と考えられて来た種が中国に産し,しかも中国が分化の中心と思われるオニフスベなどの菌類がある,(4)中国における多様性の解析を基に日本産植物の分類を再検討すべきブナ科のようなものがある,等の知見が得られた。海藻と貝類(ヒザラガイ類)は,日本の太平洋沿岸と良く似ていることが明らかとなった. 2.ヒマラヤから日本に至る植物区系上の「日華区系」の再検討に関しては,ヒマラヤ山脈の東麓に位置する横断山脈東部の四川省ゴンガ山と同山脈西部の雲南省ガリク山で本調査として初の調査が行なわれ,ゴンガ山の植物相はヒマラヤとの共通要素が多く,ガリク山はメコン河下流域の熱帯の要素を持つことが示唆された.日華区系西部の雲南省とその東に位置する貴州省の間に植物地理学上の境が存在するらしいという考がえを支持する知見は森林土壌の研究で得られた.雲南省と貴州省では森林土壌の垂直分布パターンが異なり,土壌構造も異る.植物の分布ではブナが貴州省より東部で多く分布しているが,雲南では見られなかった.またシダ植物の日本産ヌリトラノオ属の多くが貴州省以東の揚子江下流域を発祥の地とすることを示唆する知見が得られた. 3.植物資源と民族植物に関する基礎資料の収集については、揚子江下流浙江省でシイタケと日本では見られないカラカサタケの栽培およびマンネンタケの利用に興味ある知見が得られた.またメコン河流域を含む雲南省では,バウヒニアの花,キクの花,シュロの雄花,数種のマメ科の花について花食文化の例が記録された. 成果の公表は,学会での口頭発表や論文発表等に加えて,国立科学博物館の展示活動を通して行なわれている.平成8年から9年にかけ,企画展「中国南部の植物と菌類」が開催され,成果が公開されると共に展示の内容を紹介する図録が出版された. 日本列島とアジア大陸の植物相を,アジアの標本を直接採集して比較する研究は緒についたばかりであり,揚子江下流域の春季証左,横断山脈や秦嶺山脈,メコン河下流域等の調査を行いたい.
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