研究課題/領域番号 |
07042010
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | がん調査 |
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
大岳 望 帝京大学, 理工学部, 教授 (30013303)
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研究分担者 |
孫 啓時 瀋陽薬科大学, 助教授
陳 英傑 瀋陽薬科大学, 教授
姚 新生 瀋陽薬科大学, 教授
西村 敏男 帝京大学, 理工学部, 教授 (10013327)
作田 庄平 東京大学, 農学部, 助教授 (80192087)
鈴木 昭憲 東京大学, 農学部, 教授 (90011907)
YAO Shin-Sheng Shenyang Pharmacentical University, China
SUN Qi Shi Shenyang Pharmacentical University, China
CHEN Ying-Jie Shenyang Pharmacentical University, China
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1995年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | 抗がん / 細胞毒性 / タキソ-ル誘導体 / BRM活性 / マクロファージ食能 / 細胞周期阻害 / 雲南植物圏 / tsFT210細胞 / K562 / tsFT210 cell |
研究概要 |
研究目的 国際協力により、中国の気候条件の異なる広い地域にわたって植物を採集し、組織的に制がん活性を示す新規物質を検索する。 研究成果 1.中国雲南省および四川省地方を中心とした植物採集および粗抽出 1995年7月に植物に茎葉部を、また10月には根茎部を中心に約100種類の植物を採集した。採集された植物はそれぞれ、水またはエタノールで加熱抽出を行った後、濃縮、凍結乾燥により粗抽出物を得た。 2.生物活性の評価 採集した植物の粗抽出物は、次の3種の生物活性について評価を行った。 (1)培養細胞に対する細胞毒性 各粗抽出物は、10μg/ml、1μg/mlの濃度で、マウス白血病P388/ADMおよびヒト白血病K562/ADM培養細胞に対する細胞毒性をしらべた。数種の植物粗抽出に強い細胞毒性が認められた。 (2)細胞周期に影響をおよぼす物質の検索 マウス乳がん細胞tsFT210細胞を用いて、細胞周期におよぼす各粗抽出物の影響をフローサイトメトリー法で測定した。G2-M期を低濃度で阻止する粗抽出物が数種類認められた。 (3)BRM活性を有する物質の検索 マウス脾細胞幼若化、腹腔マクロファージの貧食能および細胞傷害T細胞の細胞傷害過程に作用する物質の検索を行った。 数種の粗抽出物にBRM活性を示す物質が認められた。 3.植物抽出物から有効物質の単離精製 各植物抽出物から、溶媒抽出、シリカゲル、セファデクスLH-20などを用いたカラムクロマトグラフィー、HPLC等によって有効物質を単離精製し、機器分析等によって化学構造の同定を行った。 (1)中国南部の薬草Panax gensengの抽出物から、細胞毒性を示す数種の活性物質が単離された。 物理化学的性質から、(1)2',5,5',7-tetrahydroxy-6',8-dimethoxyflavone (2)4,7-didehydro-neophysalin B (3)baicalin等が同定された。 (2)Trichosanthes Kiriolowii(カロコン)の抽出物より細胞毒性を示す有効物質が数種存在することが、単離精製の過程でわかっている。そのうちの1つは物理化学的性質からcucurbitacin Dと同定された。 (3)Saussurea lappa Clarke(モツコウ)の抽出物より、細胞傷害性T細胞クローンOE4の肥満細胞腫細胞P815に対する細胞傷害活性を抑制する物質を単離した。 物理化学的性質の解析からcostunolideおよびdehydrocostus lactoneと同定された。両成分について細胞傷害性における効果を検討したところ、両成分ともに1μg/ml濃度で約50%の阻害を示した。またT細胞と標的細胞を本物質で前処理した後の細胞傷害活性の発現を検討したところ、標的細胞を処理したものでは効果がないが、T細胞を処理したものでは細胞傷害活性の阻害が認められた。このことから、本物質はT細胞の障害活性発現過程を特異的に阻害していると考えられる。 4.今後の研究課題と展望 (1)採集した多くの植物の抽出物より有効物質の単離精製 (2)有効物質の構造研究 (3)抗がん剤としての基礎的研究 (4)新規な構造を有する有効成分の化学変換を行い、制がん剤として開発する。 (5)いわゆる「民族植物学」といわれる小数民族独自の薬用植物について調査を進める。
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