研究課題/領域番号 |
07044041
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
長尾 治助 立命館大学, 法学部, 教授 (90014430)
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研究分担者 |
ROMSAY Iain ヨーク大学, オズグッドロースクール, 教授
HARLAND Davi シドニー大学, ロースクール, 教授
RACHAGAN Sot マラヤ大学, 法学部, 教授
鹿野 菜穂子 立命館大学, 法学部, 助教授 (10204588)
竹濱 修 立命館大学, 法学部, 教授 (40188214)
山根 裕子 立命館大学, 法学部, 教授 (70200772)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1995年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | 消費者保護法 / 国際連合と消費者保護 / 競争法と消費者保護 / アジアの消費者法 / 約款の規制 / 消費者信用法 / 保険法 / 裁判外紛争解決 |
研究概要 |
1 全体の概要 研究課題は二点に要約できよう。第一は国際的な消費者政策の分析と方向を明らかにすること、第二は世界の一部地域ないしは個別国における消費者法の実情を明かにすること、である。第二の点に関し、対象地域としては、ヨーロッパ共同体と東南アジアに限定し派遣調査を実施した。 2 総論的課題 国際連合は1985年に消費者保護ガイドラインを採択している。われわれは、同ガイドラインの意義、機能を明らかにし、かつ、その内容の再検討をはかる作業に入った。訪問先であるロンドンに本部を置く国際消費者機構(Consumers' International (CI),旧IOCU)が国連諸理事会・委員会と協力しつつ、各国政府、消費者団体活動に助言・指導を通じて寄与し消費者法のハ-モナイゼーションのため影響力を有することを知りえた。CI本部付法曹との討議を通じ、同ガイドラインの再検討課題として、環境問題と消費者保護、高齢化と消費者問題の項目を含ませるべきであると考えている。また、1995年9月立命関大学を訪問されたシドニー大学バ-ランド教授は、同ガイドライン制定の背景や消費者法の国際会議の動向につき報告を行った。 3 地域派遣課題研究 (1)ヨーロッパ共同体の法制研究として、われわれは地域を細目化して分担して訪問調査を行った。欧州委員会消費者保護部局、欧州消費者団体等を訪問し最近のEC指令とそれに対する加盟国の対応、現在の重要課題と今後の活動につきヒアリングを行い、どのような観点から消費者保護政策を実施しているのかにつき一定の知見をえることができた。さらに欧州裁判所において入手の事案につきベルギーの法曹をまじえて討議を行った。他方、北欧の法制についてはスエ-デンオンブズマンと意見交換を行い、欧州委員会におけるスエ-デンの積極的な見解・提案を理解することができた。国別には、フランス法制につきモンペリエ大学消費者法研究所から資料の提供をうけ、イギリスにつきロンドン大学高等法学研究所等から保険と消費者問題の資料を、スェ-デンにつきオンブズマンから金融サービス法関連資料を、ドイツにつき、ミュンヘン大学、ケルン大学、フライブルグ大学から契約・約款と消費者保護に関する資料の提供を受けることができた。 (2)マレーシヤ・香港地域での研究 まず、マレーシヤを中心とした消費者問題と法制について、マラヤ大学ソチ教授と研究を行い、コモンウェルズ法制の一環として消費者保護法制がすすめられつつある中で、なお不十分な領域が認められることから、新立法の提案が進行しつつあるなど、最新の事情を理解することができた。また、香港については、1997年実施の中国統合の後に生ずるであろう消費者保護法制の在り方を一定程度さぐることができた。例えば現行の英法系の諸規範の存続を中国現行法である製造物責任法の香港における適用という状況が生ずるものと考えられる。 (3)以上の派遣活動の中から、われわれは地域法制に含まれる具体的項目をとりだし消費者問題と法の適用を一層リアルに追求することとした。それら項目には、競争法、約款の内容規制、保険契約、金融サービス、消費者信用を消費者保護法の理念から研究することが含まれている。 3 外国人分担者の活動 ハ-ランド教授、ソチ教授との研究会については既に言及したとおりである。カナダ、ヨ-ク大学のラムゼ-教授による消費者信用法研究は、論文寄稿の方法で実現をみたが(立命館大学人文科学研究所紀要64号(1996年1月刊)所收)、1996年度には同教授との研究会を開催する計画をたてている。 4 今後のとりくみ (1)収集した資料、文献を精査し各研究者がかかえるテーマにつき1996年8月までに論文を完成させるとともに、未開拓の課題を発掘し来年度の研究へつなげていく。1996年度には北米、オセアニア地域における消費者保護法制の研究と国際連合経済社会理事会消費者問題担当者との意見交換を予定している。本年度における研究成果と次年度における研究成果を一本にまとめて、1996年度中に、立命館大学人文科学研究所叢書として公刊したい。これまであまり探求されることがなかった新しい個別テーマを含む総合的な消費者保護法の比較法的研究となる。
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