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ポスト工業化社会における環境問題

研究課題

研究課題/領域番号 07044042
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関立命館大学

研究代表者

吉村 良一  立命館大学, 法学部, 教授 (40131312)

研究分担者 MEINCKE Pete  ケルン大学, 法学部, 教授
RUFNER Wolfg  ケルン大学, 法学部, 教授
HANAU Peter  ケルン大学, 法学部, 教授
安本 典夫  立命館大学, 法学部, 教授 (20066723)
村上 弘  立命館大学, 法学部, 教授 (30190888)
三木 義一  立命館大学, 法学部, 教授 (90102467)
松宮 孝明  立命館大学, 法学部, 教授 (80199851)
中島 茂樹  立命館大学, 法学部, 教授 (10107360)
佐上 善和  立命館大学, 法学部, 教授 (50081162)
研究期間 (年度) 1995
研究課題ステータス 完了 (1995年度)
配分額 *注記
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1995年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
キーワード環境保護 / 公害裁判 / アセスメント / 環境基本法 / 環境責任法 / 環境行政 / 環境刑法 / 環境権
研究概要

環境問題に対する法・政策の日独比較研究の意義
ドイツと日本は、高度に発達した工業国家として深刻な環境問題に直面してきたが、同時に、環境問題とその対策は、両国において異なった様相のものとして表れてきた。
日本の環境問題における法・政策の現状をみると、50年代末から60年代にかけて高度成長による深刻な環境汚染が発生し、健康被害・公害問題が社会問題化した。60年代後半には、住民運動が高揚し、自治体レベルの環境政策が前進し、各地において公害裁判が提訴された。70年代の半ばにはオイルショックによる環境政策の後退現象が見られた。80年代に入って、環境政策は依然として後退ないしは停滞が継続する。たとえば、環境アセスメント法案の度重なる流産、公害健康被害補償法の指定地域全面解除がこれである。しかし、80年末より90年代には、新しい動きの兆しが見られる。たとえば、93年には環境基本法が制定された。この環境基本法の意義は、公害対策と環境保護の結合、社会の在り方の変革を課題として設定、次世代に対する責務を明記し、環境基本計画を含む多様で総合的な対策を構想している点にある。しかし、問題点も少なくない。とりわけ、アセスメントの法制化を明示せず、環境権を盛り込まなかった点は問題である。これは基本法としての限界でもあり、理念が実現されるためには今後とも具体的な法制度が必要である。
これに対して、ドイツにおける環境問題と法・政策は、第二次世界大戦による産業の破壊、国土の分割・縮小の後、50年代に奇跡の経済成長を遂げる一方で、ルール地方を中心として大気汚染等の環境問題が発生した。60年代から70年代初頭にかけて、環境政策・環境法が整備され、70年代半ばのオイルショックによる停滞を経て、80年代には、新たな発展を遂げている。とりわけ、環境問題に対する市民の意識の向上、緑の党の議会進出により、現在ではヨーロッパ連合の中で最も環境規制の厳しい国として評価されている。86年に連邦環境省が設置されて以降、同年、連邦廃棄物処理法改正、連邦自然保護法改正、90年には環境アセスメント法、環境無過失責任法が制定され、基本法20条には国家目標規定の中に環境保護規定が挿入され、憲法レベルにおいて環境保護が保障されるに至っている。
2 立命館大学・ケルン大学国際シンポジュウムの討論内容
研究会においては、環境被害の実態、環境問題に対処する手法、環境行政、住民運動、政党の役割、国際的な環境保護運動の論点について活発な討議が行われた。今回の共同研究において、環境問題に対する基本的な考え方・原則に相違点があることが明らかになった。日本側の発想としては、企業には操業の自由があることが原則となっている。もちろん、他人に対して被害を生じさせた場合には責任を負うことがあるが、それは、いわば原則の例外となっている。さらに進んで、被害を生じさせないようにする規制がなされることも、営業の自由を制限しないように慎重に執り行わなければならない。チッソ工場排水による水俣湾の汚染においても、深刻な汚染にもかかわらず、操業停止や漁獲禁止・販売禁止等の行政指導は行われなかった。これに対して、ドイツ側の発想は、他人の権利を侵害する行為(汚染)は原則として違法であり、例外的に汚染が認められることがあるという点である。これは19世紀の営業法の考え方から、1900年のドイツ民法典に受け継がれたものである。74年には、連邦イミッション法が制定され、環境を汚染する企業の操業にはすべて認可が必要とされ、認可段階における厳しいチェックが行われている。ドイツでは、地理的に多くの工業国と国境を接しているという点で、はやくから国内法による解決だけではなく、国際的な取り組みを行ってきた。現在では、ヨーロッパ連合のなかでの共通の環境政策を展開する国際的な条件が整備されている。しかし、日本では、東アジアにおいてヨーロッパ連合のような共同した取り組みと政策形成を可能とする国際組織が存在しないため、当面は非政府機関による環境保護活動が極めて重要となってくるであろう。

報告書

(1件)
  • 1995 研究成果報告書概要
  • 研究成果

    (13件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (13件)

  • [文献書誌] 佐上 善和: "環境保護と判例の役割(独文)" 立命館法学. 18-20 (1996)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 村上 弘: "日本の環境政策 -政治・行政・企業・市民-(独文)" 立命館法学. 27-30 (1996)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 松宮 孝明: "刑法による環境保護(独文)" 立命館法学. 24-26 (1996)

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      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 安本 典夫: "都市環境の保全と創造(独文)" 立命館法学. 46-48 (1996)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 吉村 良一: "日本における環境問題の発展と環境法(独文)" 立命館法学. 21-23 (1996)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] ペーター・ハナウ/大河 純夫: "独日シンポジウム -環境法と高齢化社会-" カ-ル・ヘイマン出版 ドイツ, 200 (1996)

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      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Yoshikazu SAGAMI: "Umweltschutz und die Rolle des Rechtssprechung" Ritsumeikan Law Review. 11. 18-20 (1996)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
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      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TAKAAKI MATSUMIYA: "Der Umweltschutz durch das Strafrecht" Ritsumeikan Law Review. 11. 24-26 (1996)

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      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] HIROSHI MURAKAMI: "Japanische Umweltpolitik : Politik, Verwaltung, Unternehmen und Burger" Ritsumeika Law Review. 11. 27-30 (1996)

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      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] NORIO YASUMOTO: "Conservation and Creation of Urban Environment" Ritsumeikan Law Review. 11. 46-48 (1996)

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      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Wolfgang Rufner: "Die Recltsprobleme der alternde Gesellschaft" Ritsumeikan Law Review. 11. 27-45 (1996)

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      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Ryoichi Yoshimura: "Die Entwicklung der Umweltproblematik und des Umweltrechts in Japan" Ritsumeika Law Review. 11. 21-23 (1996)

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    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Peter Hanau Sumio Okawa(Koln und Ritsumeikan Universitat): Carl Heymanns Verlag KG.Deutsch-Japanisches Symposium-Umweltsrecht und alternde Gesellschaft, (1996)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要

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公開日: 1995-04-01   更新日: 2016-04-21  

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