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核磁気共鳴法による強相関電子系における金属-絶縁体転移と高温超伝導に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 07044045
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関北海道大学

研究代表者

熊谷 健一  北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70029560)

研究分担者 ピスクノフ ワイ  ロシア科学アカデミー, ウラル研究所, 研究員
ヤクボフスキー エイ  ロシア, クルチャトフ研究所, 主任研究員
ロス ジョゼフ  スイス, チューリッヒ大学, 講師
マリ ミハエル  スイス, チューリッヒ大学, 講師
ブリンクマン ディー  スイス, チューリッヒ大学, 教授
松田 祐司  北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50199816)
MALI Mija  Zurich University, Switzerland, Lecture
ROOS Joseph  Zurich University, Switzerland, Lecture
BRINKMANN Detlef  Zurich University, Switzerland, Prof.
PISKUNOV Yuri  Russian Academy of Sciences, Russia, Researcher
YAKUBOVSKII Andrey  Kurchatov Institute, Russia, Chief Researcher
研究期間 (年度) 1995
研究課題ステータス 完了 (1995年度)
配分額 *注記
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
キーワード核磁気共鳴 / 高温超伝導 / 強相関電子 / 金属-絶縁体転移 / 磁性
研究概要

本研究は、電荷移動型酸化物高温超伝導体とモット型絶縁体の2つの異なるタイプの強相関系で各原子サイトの電子状態の知見を得て、特異な電子状態のもとでのスピンの揺らぎの効果と金属-絶縁体転移(MI転移)近傍に現れる高温超伝導の発現機構との関連を明らかにすることを目的とした。このため、微視的測定手段である核磁気共鳴の研究を、高磁場下でのパルスNMR測定装置を有するスイス・チューリッヒ大学ブリンクマン教授グループ、およびNMR可能な濃縮核を用いた試料の作製とNMR測定をロシア・クルチャトフ研究所ヤクボフスキー博士グループとの共同研究として行った。
最近新たに発見された超伝導体YNi_2B_2C、LaPt_2B_2Cを北海道大学において製作した。更に、イオン半径の差異による局所スピン密度とスピンの揺らぎに関する系統的知見を得る目的で、系統的な希土類元素置換の試料作製を製作した。これらの試料について高磁場下でのNMR測定に関する共同研究をスイス・チューリッヒ大学において7月下旬より8月下旬にかけての1カ月にわたりおこなった。^<11>B、^<195>Pt、^<139>Laの核緩和時間(T_1)とナイトシフト(K)を測定することにより、低エネルギースピン励起の特徴を明らかにした。主な結果は、1)^<11>BのナイトシフトとT_1は3d遷移元素及び希土類元素の置換により大きな影響を受けること、2)低温に向かいナイトシフト、1/T_1Tが大きく増大すること、3)PtサイトのNMRよりd電子サイトのスピン密度の情報が得られたこと、である。これらの測定結果は、新たに発見された超伝導層状物質四元ボライド化合物において3d(5d)スピンの揺らぎの効果あるいは軽元素の特異な振動モードの重要性を示している。
一方、電子状態のドープ濃度依存性に関する研究を進めるため、濃縮核を用いた銅酸化物超伝導体、およびBaPb_<1-X>Bi_XO_3、における濃縮核^<137>Baアイソトープに置換した試料、金属-絶縁体転移物質としてのスピネル化合物CuIr_2S_4において、S(硫黄)サイトをNMR可能な^<33>Sアイソトープに置換した試料、及び、量子スピン梯子格子系(VO)_2P_2O_7、をヤクボフスキー博士と協力して作製し、これらの試料におけるNMR測定は北海道大学においておこなった。特に磁場掃引によるスペクトル測定と、低温での緩和時緩和についてはヤクボフスキー博士との協力で北海道大学で行った。
量子スピン梯子格子系(VO)_2P_2O_7と1次元スピン対物質VO(HPO_4)0.5H_2Oにおいては、^<31>P核のナイトシフト、緩和時間T_1を広範囲な温度領域で測定し、スピンギャップの形成が微視的に示した。また量子スピン梯子格子系でのスピン励起には反強磁性揺らぎの波数依存性が顕に見られることや、緩和時間の磁場依存性が大きいことを明らかにし、低次元スピン系のスピン励起の特徴を議論し論文にまとめた。
銅スピネル化合物においては、Cu、Rh,S,Seの各核種のNMRを測定した。CuIr_2S_4におけるCuサイトでのナイトシフト、1/T_1の大きな減少は、MI転移でエネルギーギャップの形成によるスピン密度の減少を示している。さらに、MI転移において磁気秩序状態は現れないことがNMR測定結果より明らになった。超伝導物質CuRh_2S_4での緩和時間、ナイトシフトから、Cu、Rhサイトでの電子状態密度の大きさを評価し、Rhサイトではバンド計算の結果を支持するが、Cuサイトでは理論の予測より大きな状態密度の寄与があることを示した。
BPBO系においては超伝導相でBa-NMR信号幅が低温で急速に増大し電気四重局相互作用の非対称パラメータηが0から1に変化することが示された。このことは、BaOが局所的に変形し、これによる電子系の変化と超伝導性の相関が明らかになった。スピン梯子格子系でのスピンギャップの形成がナイトシフト、緩和時間の特徴的な温度変化から示され、梯子系のおける量子スピンの揺らぎの特徴を議論した。

報告書

(1件)
  • 1995 研究成果報告書概要
  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 熊谷健一、K.Kumagai,S.Tsuji,T.Hagino and S.Nagata: "NMR Studies of Superconductivity and Metal-Insulator Transition in Cu spinel CuM_2X_4 (M=Rh,Ir and x=S,Se)" Spectroscopy of Mott-Insulators and Correlated Metal (Springer Verlag,). 255-264. (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] T.Hagino,Y.Seki,N.Wada,S.Tsuji,T.Shirane,K.Kumagai,and S.Nagata,: "Superconductivity in spinel-type compounds CuRh_2S_4 and CuRh_2Se_4" Phys.Rev.B51. 12673-12684. (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 熊谷健一、松田祐司、Y.Matsuda,M.B.Gaifullin,K.Kumagai,K.Kadowaki,and T.Mochiku,: ""Collective Josephson Plasma Resonance in the Vortex State of Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+delta>"" Phys.Rev.Lett.75,. 4512-4515 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Y.Matsuda,T.Nagaoka,G.Suzuki,K.Kumagai,M.Suzuki,M.Sera,M.Hiroi,and N.Kobayashi,: ""Hall Anomaly in the Vortex State of La_<2-x>Sr_xCuO_4";" Phys.Rev.B52. R15749-15752 (1995)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] K.Kumagai, S.Tsuji, T.Hagino and S.Nagata: "NMR Studies of Superconductivity and Metal-Insulator Transition in Cu spinel CuM_2X_4(M=Rh, Ir and x=S,Se)" Spectroscopy of Mott-Insulators and correlated Metal (Springer Verlag, ). 255-264 (1995)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
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      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] T.Hagino, Y.Seki, N.Wada, S.Tsuji, T.Shirane, K.Kumagai, and S.Nagata: "Superconductivity in spinel-type compounds CuRh_2S_4and CuRh_2Se_4 Phys. Rev." B51. 12673-12684 (1995)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Y.Matsuda, M.B.Gaifullin, K.Kumagai, K.Kadowaki, and T.Mochiku: ""Collective Josephson Plasma Resonance in the Vortex State of Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+delta>" Phys. Rev. Lett." 75. 4512-4515 (1995)

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      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Y.Matsuda, T.Nagaoka, G.Suzuki, K.Kumagai, M.Suzuki, M.Sera, M.Hiroi, and N.Kobayashi: ""Hall Anomaly in the Vortex State of La_<2-x>Sr_xCuO_<4・>", Phys. Rev." B52. R15749-15752 (1995)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
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      1995 研究成果報告書概要

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公開日: 1995-04-01   更新日: 2016-04-21  

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