研究課題/領域番号 |
07044052
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
湯田 春雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90108457)
|
研究分担者 |
PILONEN Leo バージニア工科大, 教授
寺本 吉輝 大阪市立大学, 理学部, 講師 (50163928)
浅野 侑三 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (80100808)
星 喜元 東北学院大学, 工学部, 助教授 (80146117)
阿部 浩也 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60004412)
山口 晃 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60004470)
阿部 和雄 高エネルギー物理学研究所, 物理部, 教授 (80167931)
LEO Pilonen Virginia Polytechnic Institute and State University
|
研究期間 (年度) |
1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1995年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
|
キーワード | 素粒子 / B粒子 / CP非保存 / K_L粒子 / ミュー粒子 / RPC / K_L・ミュー検出器 / ドリフト・チェンバー |
研究概要 |
東北大、東北学院大、高エネルギー研、大阪市大のグループは米国バ-ジニヤ工大及びプリンストン大と共同し、高エネルギー研・B実験におけるK_L・ミュー検出器の建設を分担している。この実験ではB粒子崩壊におけるCP非保存効果を観測し、素粒子物理における標準模型の検証を目指すものである。この研究は、B粒子崩壊モードB^0→J/Ψ+K_L→μ^+μ^-+K_Lの検出によりCP非保存を観測するため、K_Lとミュー粒子の検出が重要であり、そのため、K_Lとミューオン検出器の建設が必要となった。しかしながら、この検出器は、最も外側に設置される必要があるため、その表被面積は150m^2となり、通常のドリフト・チェンバーで製作すると、莫大な建設費が必要となり、現実的に不可能である。 そのため、建設費のあまりかからない新しいタイプの検出器、高抵抗板チェンバー(RPC)の開発研究が重要となった。 本研究はこのK_L・ミュー検出器の建設のためのバ-ジニヤ工大と高抵抗板チェンバーの共同開発研究を行い、実機の大型チェンバーの設計及び大量のチェンバー製作の準備を行うことを目的とするものである。 この研究の基礎開発研究として、 1.チェンバー製作材料の選定、 4.大型チェンバー読み出しシステムの開発、 2.フレオン13B1の代替に代わる安全ガスの探索、 5.チェンバーの耐久性テスト、 3.湿度依存性、 6.検出効率の計数率依存性とその向上、 を目的とした。 このため、国内で3回研究打ち合わせを行い、開発研究結果の検討を行った。更に、国内より7名の研究者をバ-ジニヤ工大及びプリンストン大へ派遣し、上記開発研究の結果の検討を行い、大型チェンバーのプロトタイプの設計及びその製作について検討を行った。プロトタイプのチェンバーは、東北大学とバ-ジニヤ工大とで独立に製作し、その性能の比較テスト測定を行った。また、この新しいチェンバーの開発研究のため、イタリヤのパビア大学へ2名の研究者を派遣し、調査・打ち合わせを行った。 この研究により、次の研究成果が得られた。 1.チェンバー製作材料の選定 RPCの電極板の材料として、日本と米国の研究者間で、ベ-クライト、RPC、ABSとガラス板について比較テストが行われ、耐久性の点から厚さ2mmのガラス機を使用することが決定された。 2.フレオン13B1の代替ガス 使用ガスはアルゴン、イソブタン、フレオンであり、最初フレオン13B1を使用していたが、このフレオンは製造禁止となるため、代替ガスの探索が必要となった。そのため、フレオンR116、134Bのガスを用いて、チェンバー特性の測定を行い、この二つのフレオンガスは充分代替ガスとして使用可能であることが明らかになり、現在、フレオン116を使用中である。 3.湿度依存性 東北大で製作テスト中のRPC数枚が、夏の高湿度環境で動作しなくなり、このためのテストを実施した。2枚のRPCを製作し、一方は湿度80%、一方は60%として運転して、計数効率の時間変化を調べた。高湿度状態で運転したRPCは一週間後に計数効率20%に低下し、このため、充分な湿度対策が必要であることが分かった。 4.の大型チェンバー読み出しシステムの開発、5.のチェンバーの耐久性テスト及び6.の検出効率の計数率依存性については、未だ、テスト中であるが、これら一連の開発研究により、現在、大型RPCチェンバーの大量生産が開始され、K_L・ミュー検出器の建設が可能になった。 ここに、科学研究費補助金(国際学術研究)の援助を頂いたことに、深く感謝する次第である。
|