研究課題/領域番号 |
07044058
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山内 清語 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (10127152)
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研究分担者 |
DINSE Klausー ダームスタット工科大学, 物理化学科, 教授
MOBIUS Klaus ベルリンフリー大学, 実験物理学研究所, 教授
大庭 裕範 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (10176985)
秋山 公男 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (10167851)
DINSE Klaus ダームスタット工科大学, 物理化学科, 教授
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1996年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1995年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | パルスESR / 多次元ESR / 高周波ESR / 時間分解ESR / ニューテーション法 / 光誘起電子移動 / 金属ポルフィリン / 励起多重項 / 金属錯体 / 光化学反応 / 電子スピン共鳴 / 多次元 / 光合成 / 金属ポリフィリン / 金属フラーレン |
研究概要 |
二年間の本国際学術研究により、多くの外国人研究者と接する機会があり、研究の成果以外にいくつかの大きな進展があった。これらは、我々の期待以上の成果であり、以下にまとめられる。 1)2年間の本共同研究を基盤として、ドイツ・フリー大学物理学教室と我々の反応化学研究所の間で学術交流協定を結ぶことが決定した。 2)我々仙台の3研究室の磁気共鳴グループが長年待望していたAdvanced EPRに関する国際会議(仙台シンポジウム)を発足させ、すでに第三回を決定する段階にまで発展させることができた。 3)本研究分担者、協力研究者であったドイツ・メビウス教授、ディンゼ教授、イスラエル・レバノン教授は勿論のこと、彼等の周辺の研究グループとも親交が深まり、今後の研究に大きな財産を残すことができた。 4)今年度のヨーロッパへの研修、仙台シンポジウムにおける議論・口頭発表などを通して、大学院生の国際意識を著しく向上させることができた。 本研究で得られた研究成果は以下の通りである。まず装置に関しては、 1)これまでのスピンエコー装置を改良して、光化学反応解析用のフーリエ変換(FT)パルスESR装置を完成させた。これにより、時間分解能10ナノ秒で多次元ESR信号の観測が可能になった。 2)ドイツのMobiusの研究室では、高周波W-バンド(95GHz)ESR装置を完成させ、時間分解・パルスの両測定が可能になった。 3)ドイツのDinseの研究室では、自作のX-バンド(9.5GHz)ESR装置を改良して多次元測定を可能にした。 これらの自作の装置を用いて以下のことが明らかになった。 4)励起三重項とラジカルの間のスピン分極移動が金属ポルフィリンを用いて初めて観測された。これによりラジカルのスピン格子緩和時間が測定されるとともに、スピン分極を持たないラジカルにスピン分極を生成させることで、時間分解ESR法の適用範囲を著しく拡大することができた。 5)FT-ESRの開発のより、時間分解能が向上し、光誘起電子移動、プロトン移動、分解反応系におけるESR信号の立ち上がりの解析が可能になり、これを用いて種々の系で反応速度を直接決定した。 6)二次元ESRのパルス系列を開発して、金属フラーレンのESRの温度変化を追跡し、分子回転及び、スピンダイナミクスに関する詳細なデータを得た。 7)W-バンドESRにより、in vivoの単結晶を用いて光合成反応中心ESR信号を観測し、その構造を決定した。 8)二次元ニューテーション法を開発して、ポルフィリン-キノン系おけるイオン対の分離と決定的な同定に成功した。また、スペクトルの解析から、交換相互作用のパラメータJが0.3Gと求めた。 9)ポルフィリン-とフラーレンにラジカルを結合させた分子を合成した。これらの分子に対して、W-バンドESRを用いて信号を分離し、二次元ニューテーション法によって多重項の同定を行って、励起四重項と励起二重項の観測に成功した。
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