中性K中間子を用いたCP非保存の研究

• 研究課題/領域番号: 07044088
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 共同研究
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 山中 卓 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20243157)
• 研究分担者: 有坂 勝史 カリフォルニア大学, ロサンゼルス校・物理学科, 助教授 ; TSCHIRHART B フェルミ研究所, 物理部, 研究員 ; WINSTEIN Bru シカゴ大学, 物理学科, 教授 ; 貞本 雅祥 大阪大学, 大学院・理学研究科, 学振特別研究員 ; 花垣 和則 大阪大学, 大学院・理学研究科, 学振特別研究員 ; 原 隆宣 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70283827) ; 羽澄 昌史 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20263197) ; 瀧田 正人 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20202161) ; 長嶋 順清 (長島 順清) 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90044768) ; 幅 淳二 高エネルギー物理学研究所, 物理部門, 助教授 (60180923)
• 研究期間 (年度): 1995 – 1996
• 研究課題ステータス: 完了 (1996年度)
• 配分額: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円); 1996年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円); 1995年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
• キーワード: 弱い相互作用 / CP非保存 / 対称性の破れ / K中間子 / 稀崩壊 / CsIカロリメータ / データ収集システム / シリコンストリップ検出器 / シリコンストップ検出器

研究概要

1.中性K中間子を用いたCP非保存の実験
この研究の目的はCPの非保存を中性K中間子を用いて調べることである。これには2つの方法を用いる。一つは、K_L、K_Sがそれぞれπ^0π^0、π^+π^-に崩壊する4つの分岐比の比を精密測定する事により、直接的なCPの非保存の有無を調べる実験(E832)である。もう一つは、直接的なCPの破れの効果の大きいK_Lの稀崩壊を探索する実験(E799)である。更にこの実験ではその他にも約十数種類の稀崩壊を観測・探索する事ができる。
まず、1996年夏までかけて実験の準備を行った。その中で、我々はCsI結晶を用いた電磁カロリメータの光電子増倍管の試験、超高速データ収集システムの開発、γ線検出器の開発、試験を行った。
1996年8月末には初めて中性K中間子のビームを得、設計通りの非常にきれいなビームであることを確かめた。
1996年10月末からはまず、実験E832のデータを約2ヶ月収集した。1997年1月半ばからは実験E799を開始した。高いビーム強度とそれに耐える測定器、データ収集システムのおかげで、約1週間でほとんどの崩壊について現存の世界記録の感度を越えることができた。現在順調にデータ収集を続けており、まず3月末まで走る。4月からはまたE832に切り替えて夏までデータ収集を行い、その後またE799に切り替えて9月半ばまで走る予定である。
実験の解析はまだ始まったところである。いくつかの崩壊については暫定的な結果が1996年末までに出せる予定である。既に、12月半ばに1日取った特別なデータから、K_L→π^0υυの分岐比の上限値を30倍下げる新たな結果が得られ、2月にサンタモニカで開かれた国際会議で発表した。また、前回行った実験の結果をいくつか論文発表した。
2.新しいCP非保存のための測定器開発
B中間子を用いたCP非保存の実験のため、シリコンストリップを用いた超高精度の位置検出器を開発した。コンピュータシミュレーションを用いた検出器の設計・評価を行った。また赤外レーザーを用いた試験装置も開発した。更に、各種の試作品を試験、比較した結果最終的な設計を選び、まもなく大量生産に入る。

研究成果

• [文献書誌] B.Schwingenheuer,et al.: "CPT Tests in the Neutral Kaon System" Phys.Rev.Lett.74. 4376-4379 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] M.B.Spencer,et al.: "Measurement of the Branching Ratio and Form-Factor of K_L→μ^+μ^-γ" Phys.Rev.Lett.74. 3323-3326 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] J.N.Matthews,et al.: "New Measurement of the CP-Violation Parameter η+-γ" Phys.Rev.Lett.75. 2803-2807 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] P.Gu,et al.: "First Evidence for the Decay K_L→eeμμ" Phys.Rev.Lett.76. 4312-4315 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] B.Schwingenheuer, et al.: "CPT Tests in the Neutral Kaon System" Phys.Rev.Lett.74. 4376-4379 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] M.B.Spencer, et al.: "Measurement of the Branching Ratio and Form Factor of K_L*mu^+mu^-gamma" Phys.Rev.Let.74. 3323-3326 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] J.N.Matthews, et al.: "New Measurement of the CP-Violation Parameter eta+-_<gamma>" Phys.Rev.Lett.75. 2803-2807 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] P.Gu, et al.: "First Evidence for the Decay K_L*eemumu" Phys.Rev.Lett.76. 4312-4315 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] B.Schwingenheuer,et al.: "CPT Tests in the Neutral Kaon System" Phys.Rev.Lett.74. 4376-4379 (1995)
• [文献書誌] M.B.Spencer,et al.: "Measurement of the Branching Ratio and Form-Factor of K_L→μ_+μ_-γ" Phys.Rev.Lett.74. 3323-3326 (1995)
• [文献書誌] J.N.Matthews,et al.: "New Measurement of the CP-Violation Parameter η+-γ" Phys.Rev.Lett.75. 2803-2807 (1995)
• [文献書誌] P.Gu,et al.: "First Evidence for the Decay K_L→eeμμ" Phys.Rev.Lett.76. 4312-4315 (1996)
• [文献書誌] B.Schwingenheuer,et al.: "CPT Tests in the Neutral Kaon System" Phys.Rev.Lett.74. 4376-4379 (1995)
• [文献書誌] M.B.Spencer,et al.: "Measurement of the Branching Ratio and Form-Factor of K_L→μ^+μ^-γ" Phys.Rev.Lett.74. 3323-3326 (1995)