研究分担者 |
須鎗 弘樹 東京理科大学, 理工学部, 助手 (70246685)
明石 重男 (明石 重雄) 新潟大学, 理学部, 助教授 (30202518)
渡邉 昇 (渡辺 昇) 東京理科大学, 理工学部, 講師 (70191781)
LUBEC G. ウィーン大, 医学部, 教授
小嶋 泉 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (60150322)
LU Y.G. バリ大学, 数学科, 助教授
HAAG R. ハンブルグ大, 理論物理第2研究所, 教授
MRUGALA R. コペルニクス大学, 理論物理学科, 助教授
STASZEWSKI P コペルニクス大学, 理論物理学科, 助教授
MILBURN G.J. クイーンズランド大学, 物理学科, 教授
VOLOVICH I. Steklow数学研究所, 教授
BELAVKIN V.P ノッティンガム大学, 数学科, 客員教授
VON Waldenfe ハイデルベルグ大学, 応用数学科, 教授
SALAMON P. サンディエゴ州立大学, 数理科学科, 教授
PETZ D. ブタペスト技術大学, 数学科, 教授
INGARDEN R.S コペルニクス大学, 理論物理学科, 教授
ACCARDI L. ローマII大学, 数学科, 教授
SUYARI H Faculity of Science and Technology, Science University of Tokyo, Assistant
AKASHI S Faculity of Science, Niigata University, Associate Professor
G.LU Y Department of Mathematics, University of Bari, Associate Professor
MURGALA R. コペルニクス大学, 理論物理学科, 助教授
BELAVKIN V. ノッティンガム大学, 数学科, 客員教授
WALDENFELS W ハイデルベルグ大学, 応用数学科, 教授
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研究概要 |
情報理論,物理学,生物学,工学,認知科学などのあらゆる分野の数理的研究では,"系(システム)"という概念が基本的であり,その系の示す"力学"を考えることはごく普通のことである.こうした系の力学は状態という概念によって記述されている.この状態の変化を調べることが自然科学の研究の主な方法の一つである.一方,状態の持つ性質の一つとして,系の秩序の裏返しである,系の複雑さを調べることが重要になる.また,近年,エントロピー,フラクタル,カオス,ファジ-,不確定さなどの,系の複雑さを表す概念が様々な分野で使われているが,これらは個々の研究者に依ってその意味するところが微妙に異なっている.複雑さという概念が様々な分野で個別に扱われているといっても,それが持つ科学的意味はほぼ共通なものであるはずだから,それらを統一的に扱う方法が存在するはずである.こうした立場から,情報と深く関わる複雑さの概念を新たに捕らえなおし,それと状態の変化の力学を融合したものとして"情報力学"が提案されている.この情報力学の考えを遺伝子解析に適用し,生命現象を解明することが本研究の目的である. 量子系のエントロピー理論はvon Neumannに始まり,その後量子統計力学など様々な分野で,その応用がなされてきた.この量子系のエントロピーは,非可換系のエントロピーともいわれ,非可換確率論を土台にその数学的定式化がなされてきた.非可換確率論は量子力学の数学的構造の解析にその端を発し,現在では,統計力学,量子情報理論,場の理論など様々な領域においても数学的基盤を与えるものである.特に,量子系のエントロピーは,情報理論的取り扱いが可能であり,その応用範囲は広い.本研究計画においても,光通信理論における誤り確率の定式化並びに相互エントロピーによる変調効率の比較等を行うことによって,その応用例を見いだすことが出来た.また,ガウス過程への相互エントロピーの応用等も試みることができた.さらに,量子系のエントロピーの最大化,ファジ-エントロピーの諸性質などについても論じた.また,近年,エントロピーの考え方をもう少し広くとらえ,情報力学という系の力学変化を記述する数理体系を提唱し,その具体例について論じている. 一方,これらの様々な応用例の土台となる量子系のエントロピーの数学的定式化並びに個々のエントロピーの諸性質,相互関係を一冊の書物にまとめ挙げた.また,現在相互エントロピーの量子マルコフ過程への具体的応用を研究中であり,さらなる知見を得られるものと期待できると思われる. また,光通信過程の厳密な数理的研究を行うためには,光の量子性を考慮し,量子力学系における通信理論(量子通信理論)の定式化が必要となる.そのために,関数解析の手法を用い,相互エントロピーと量子チャネルの定式化を行い,それをベースに,減衰過程の光チャネルの数学的表現を情報力学の立場から,より汎用性のあるものに書き換えた.さらに,このことにより,今まで計算できなかったスクイーズド状態を入力とする通信の誤り確率を厳密に求める方法を見い出した.更に,本研究では,量子系の相対エントロピーの統計十分性への応用とともに,相互エントロピーを新たに定式化した.こうした成果の一つが1993年にSpringer-VerlagからのTMPのシリーズの一冊として出版された"Quantum Entropy and Its Use"であり,情報力学に関するもう一冊の著書"Information Dynamics and Open SystemsもKluwerから出版予定である.
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