研究課題/領域番号 |
07044106
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
石浜 明 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 教授 (80019869)
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研究分担者 |
BUSBY Steve バーミンガム大学, 生化学部, 教授
HAYWARP Rich エジンバラ大学, 細胞分子生物学研究所, 教授
GLASS Robert ノッティンガム大学, 医学部, 教授
藤田 信之 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助手 (90173434)
HAYWARD Richard S. University of Edinburgh, Institute of Cell and Molecular Biology
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | RNAポリメラーゼ / 転写装置 / 転写調節 / 転写因子 / 分子解剖 / 蛋白構造 / 遺伝解析 / 分子集合 |
研究概要 |
遺伝子の転写制御の基本機構は、転写酵素RNAポリメラーゼが、さまざまの転写因子と相互作用した結果、転写をする対象遺伝子の選択を変換することによっている。従って、実際に転写に関与するRNAポリメラーゼは、転写因子と複合体を形成した、「転写装置」である。転写因子とRNAポリメラーゼの分子間コミュニケーションの実体を解明する目的で、本研究では、転写因子の種類と量、転写因子との相互作用に伴うRNAポリメラーゼの機能変化、RNAポリメラーゼ上の転写因子接点、転写因子上のRNAポリメラーゼの接点の同定を目指した。連合王国側共同研究者は、それぞれ転写因子の専門家であり、日本側のRNAポリメラーゼ研究者との協業を希望し、本国際共同研究が成立した。 大腸菌では、RNAポリメラーゼは、転写因子との2段階の相互作用で、機能変換を示すが、第一段階の転写因子(シグマ因子)については、これまでに存在が示唆されていた6種類の内の、5種類について、細胞内の濃度を測定し、ま た、純化蛋白を得てRNAポリメラーゼの機能特異性にあたえる影響を調べた。特に、従来殆ど実態不明であった、異常環境での遺伝子転写に関与する、微量のシグマ因子(シグマ54、シグマ38、シグマ32、シグマ28)を初めて 単籬精製し、その支配下の遺伝子転写を実証し、しかも、その反応には、異常環境時に細胞内に醸成されると予想される、特殊な条件が必要であることを明かにできた。 一方、第二段階の転写因子群の相当数について、RNAポリメラーゼ各サブユニットに変移を導入することで、これら転写因子との接触不能となり、遺伝子制御が出来なくなることを指標にした、組織的スクリーニングを行った。その結果、アルファサブユニットのC端領域に一群の転写因子(クラス1転写因子と命名)との接点を同定し、その領域各アミノ酸の役割を決定した。また、この領域を含む蛋白ドメインの三次元構造を決定し、転写因子と接触するアミノ酸の配置を決めた。そのうえに、この領域がDNAのエンハンサーをも認識するサイトであることを実証した。これは、蛋白因子とDNA制御シグナルのいずれをも認識する。新しい蛋白機能域の発見となった。一方、RNAポリメラーゼの他のサブユニット、シグマ、ベタ-およびベタ-プライム上にも他の転写因子との接点のクラスターが存在する予備的結果を得、それぞれ、クラス2、クラス3、クラス4転写因子と命名した。この間の研究で、大腸菌の約100種類の転写因子全ての接点を同定する方向の研究の基礎を築き、軌道に乗せた。
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