ヘリカル型プラズマ閉じ込めの理論的・実験的アプローチによる最適化

• 研究課題/領域番号: 07044108
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 共同研究
• 研究機関: 核融合科学研究所
• 研究代表者: 松岡 啓介 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 教授 (70023736)
• 研究分担者: KUTEEV B.V. ロシア, サンワトペテルブルク工科大学, 教授 ; SAFRONOVA U. ロシア, 分光学研究所, 主任研究員,教授 ; KOVRIZHNYKH エルエム ロシア, 一般物理研究所・プラズマ部門長, 教授 ; PAVLICHENKO オーエス ウクライナ国立科学センター, プラズマ物理研究所・所長, 教授 ; PUSTOVITOV V ロシア, ワルチャトフ研究所, 主幹研究員 ; 加藤 隆子 核融合科学研究所, 研究企画情報センター, 助教授 (20115546) ; 百田 弘 核融合科学研究所, 研究企画情報センター, センター長,教授 (10023714) ; 藤田 順治 核融合科学研究所, 研究企画情報センター, 教授 (50023700) ; 須藤 滋 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 教授 (50142302) ; 久保 伸 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助教授 (80170025) ; 井口 春和 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助教授 (40115522) ; 岡村 昇一 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助教授 (60115540) ; KOVRIZHNKH L.M. General Physics Institute, Moscow, Russia
• 研究期間 (年度): 1995
• 研究課題ステータス: 完了 (1995年度)
• 配分額: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円); 1995年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
• キーワード: ヘリカルプラズマ / フィルシュ・シュリューター電流 / 2重極磁場 / 4重極磁場 / 高ベータ / 重イオンビームプローブ / 2次元ステラレータ / ICRF加熱

研究概要

相手側の研究代表者であるプストヴィトフ博士は幸い学術振興会の招へい研究員として長期(平成7年2月-11月)に滞在した。トロイダルプラズマが高温高密度になりベータ値が上昇すると、フィルシュ・シュリューター電流(PS電流)と呼ばれる電流が流れるようになり、プラズマを主半径外側にシフトさせる。これによって、閉じ込め磁場配位が変形を受け、閉じ込め性能は概して劣化する。このため、平面磁気軸のヘリカル磁場配位の最適化の一環として、2重極磁場と4重極磁場を用いて、PS電流を低減することを理論的に研究した。シアの無い1=2ステラレータや中心で回転変換のない1=3トルサトロンでは、2重極磁場のみによって、真空磁気面を主半径内側にシフトさせると、PS電流を大幅に減少させることが出来る。また、シアのある1=2トルサトロン(CHS,LHD)では2重極磁場とともに4重極磁場も制御する必要があることが示された。内側シフトによるPS電流の減少は、内側シフトによって磁気面上の磁場の強さの変化が減少することによって定性的に説明できる。ヘリオトロンEのような高いアスペクト比の場合には、この効果は有効になる。実験的にもベータ値の上昇に伴うプラズマシフトが内側シフトの場合に少ないことが観測されている。しかし、CHSやLHDのような低アスペクト比の場合には、極端に内側にシフトさせなければ、効果は期待できなく現実的ではない。この場合にも、4重極磁場をプラズマが縦に長くなるように印加すると、PS電流が減少することが示された。CHSの実験において検証する予定である。
プストヴィトフ博士の上司であるシャフラノフ博士が来日し、より一般的な見地からの最適化を紹介した。現在のヘリカル装置は平面磁気軸の装置が主流であるが、最適化のためには立体磁気軸の必要性が強調された。ヘリカル磁場は3次元であるが、何らかの対称性が存在すると磁場の強さは2つの変数によって記述でき、粒子軌道の磁気面からのズレを小さくすることが出来る。シャフラノフ博士の最適化は、現実の装置には必ずしも適さないが、対称性の追及はその後の当研究所における最適化の方向を決定付けた。
ウクライナからクルプニク博士が来日し、CHSの重イオンビームプローブ(HIBP)によるプラズマポテンシャル計測実験に参加した。CHSでは2次側ビームラインに2次元の軌道制御電極を使用しているが、ロシアのT-10トカマクではトロイダル方向にのみ掃引する方式を取っている。CHS実験に参加して、制御方式の難易度、プラズマ光の影響等を詳しく調べた。比較の結果は、スペインのTJ-2ステラレーターのHIBP設計に反映されるが、軌道制御方式の優れている点を考慮すると、CHS方式がTJ-2の設計に採用されることになろう。ただし、制御電極の位置、形状などについてCHSにおける問題点を抽出し、今後共同で改良することになった。また、当研究所で開発中のLHD用HIBPは世界最大のエネルギーを持つことになり、ハリコフの研究グループも国際共同研究としてこれに参加したい意向を持っている。具体的な共同研究テーマを討論した。例えば、ハリコフでの研究が先行しているチャンネルプレート(MCP)検出器の開発などが最初の課題として考えられる。
一般物理研究所のメシェリャコフ博士がCHS実験に参加した。ICRF実験結果についてCHSとL-2装置との比較を行った。ヘリカルプラズマにおけるICRFの実験結果に対する解釈は確立されているとは言い難く、L-2装置での電子加熱機構はCHSにおけるものとは異なっていた。今後の研究方針に対して活力を与える議論となった。
松岡がクルチャトフ研究所を訪問し、シャフラノフ博士、プストヴィトフ博士と準トロイダル対称ステラレータについて議論した。この磁場配位は2次元であり、新しい最適化の方向を与えるものである。一般物理研究所では、今後の研究協力について議論を行った。松岡と岡村はハリコフのプラズマ物理研究所を訪問し、今後の研究協力について議論を行った。

研究成果

• [文献書誌] V.D.Pustovitov: "Suppression of Pfirsch-Schluter Current by Vertical Magnetic Field in Stellarators" Nuclear Fusion. 36(出版予定). (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] V.D.Pustovitov: "Control of Pfirsch-Schluter Current by External Poloidal Magnetic Field in Conventional Stellarators" Nuclear Fusion. (投稿中).
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] V.D.Pustovitov: "Suppression of Pfirsch-Schluter Current by Vertical Magnetic Field in Stellarators" Nuclear Fusion. 36. (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] V.D.Pustovitov: "Control of Pfirsch-Schluter Current by External Poloidal Magnetic Field in Conventional Stellarators" Nuclear Fusion (to be submitted).
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より