研究課題/領域番号 |
07044142
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 昭夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (10025900)
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研究分担者 |
LILIEBTALーWE ウェーバ ゼット ローレンス, バークレイ研究科・物質科学研究部門, 主管研究員
WEBER Eicke カリフォルニア大学, バークレイ校・物質科学鉱物工学科, 教授
若原 昭浩 京都大学, 工学研究科, 助手 (00230912)
LILIENTAL-WEBER Z. Lawrence Berkeley Lab.
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1995年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | ヘテロエピキタシ- / Stranski-Krastanov様式 / 遷移膜厚 / 自己形成 / 量子ドット |
研究概要 |
本研究では、京都大学でInAs/GaAs、AlAs/GaAs、GaInN/GaNおよびGe/Siのヘテロエピキタシ-を行い、これら量子効果半導体の新規光量子物性の検討を行った。これらの試料は、カリフォルニア大学の超高真空走査型トンネル顕微鏡によりキャリアの局在状態を、ローレンス・バ-クレイ研究所の原子分解能電子顕微鏡により構造、原子配列を調べた。これらの結果を基に、京都大学の光量子電子工学研究者とカリフォルニア大学およびローレンス・バ-クレイ研究所の材料科学研究者が、量子効果半導体のヘテロエピキタシ-機構に関して、異なる立場で意見の交換および討論を行った。その結果、以下のような結果を得た。 1)InAs/GaAsヘテロエピキタシ-より形成されるInAs3次元量子構造を、京都大学での原子間力顕微鏡により評価し、ここで得られた量子構造の形状をValence-Force-Fieldモデルを用いて解析し、3次元量子構造の歪分布を理論的に解析し、量子構造の周辺部に大きな応力が引加されていることを明らかにした。 2)GaAs障壁層厚を変化させたGaAs/InAs/GaAs多重積層構造を作製し、ローレンスバ-クレイ研究所の原子分解能電子顕微鏡により評価を行った。その結果、GaAs層厚が100Å以下では、InAs量子構造が分離できないこと、InAs量子構造が成長方向に一列に並ぶことを明らかにした。さらに、InAs3次元量子構造中の歪分布を原子像の解析により求め、上記1)で得た理論解析結果と比較検討を行った。 3)GaAs/InAs/GaAs構造を1から10周期積層した構造を作製し、その光励起発光性について検討を行い、1周期構造では発光強度が比較的弱い励起において飽和すること、多重化により飽和現象が抑えられることを示した。また、強励起状態では、量子ドットの高次の準位からの発光が観測されることを明らかにした。 4)Ge/Siヘテロエピキタシ-において、同じIV族元素であるSnを表面活性剤として用い、Geの自己形成3次元構造形成が促進されることを明らかにした。 5)京都大学にて作製したAlAs/GaAsおよびInAs/GaAs量子効果半導体中でのキャリアの局在状態を、カリフォルニア大学バ-クレイ校の超高真空走査トンネル顕微鏡を用いて、超高真空中で劈開した断面の観察により評価し、京都大学で得られた発光特性とキャリア局在現象の関係について検討を行った。現時点では、キャリアの局在状態を観測するには至っていないが、討論を通して、極低温での測定、無添加試料であるため、キャリアを励起する必要があることが明らかとなり、これを解決すべく研究を継続中である。 6)窒化物系の量子効果半導体実現のため、GaNおよびGaInをサファイア基板上に作製し、成長条件と成長形態、結晶性との関連について検討を行った。これにより、GaN/GaInNヘテロエピキタシ-で問題となるInの偏析を抑制することの出来る500℃という低温において、室温での光励起発光が得られる良質なGaNおよびGaInN成長層を得た。現在、GaInN量子構造の作製を進めているところである。 7)以上で得られた知見と、Valence-Force-Fieldモデルを用いたヘテロエピキタシ-成長様態の変化する遷移膜厚の数値解析結果を基に、カリフォルニア大学Weber教授の協力の下で数値計算に依らない遷移膜厚の一般化理論を確率した。
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