研究概要 |
AC運転をトカマク炉に採用すれば,誘導電流駆動なので高密度でも小電力で電流駆動が出来,また通常のパルス炉よりも核融合反応休止時間を短くできるので小さな蓄熱装置で定常発電ができる^<(1)>.ACトカマクの可能性は筆者によってSTOR-1M^<(2)>,STOR-Mトカマク(R=46cm,a=12cm,B_t=0.7T)において実験的に示された^<(3)>.またEUのJETトカマクにおいても実験的に示された^<(4)>.STOR-MトカマクにおけるAC実験では,プラズマ電流が反転した後プラズマ位置制御が不完全なためディスラプションとなり,完全1サイクルAC運転はできなかった^<(3)>. 今年度行った研究においては,STOR-MトカマクにおいてマルチサイクルAC運転を行うためにフィードバック制御装置,オーミック加熱回路の改造を行い,1.5サイクルAC運転を行い,将来のマルチサイクルAC運転に必要な技術を確立したことについて報告する. 図1にSTOR-Mトカマクの以前に得られたAC運転の結果を,プラズマ電流,ループ電圧を点線で示す.プラズマ電流は+24kAからスムースに減少し零となり,反転し-20kAまで再び増大するが,フィードバック制御が不完全なため負方向の第二パルスは最後にディスラプションを起こす.これはフィードバック制御装置が正方向の第一パルスの時に最適化されているのに対し,負方向の第二パルスの時には最適化されていないことによる. これを解決するため,負方向の第二パルスのプラズマ位置シグナルに直流バイアス電圧を印加し,プラズマ位置の最適化を図った.その結果得られたAC運転の波形,プラズマ電流,ループ電圧を実線で図1に示す.プラズマ電流が+20kAから-20kAまでの,いわゆる完全1サイクルAC運転となる.電流反転時の小さなディスラプションは,さらなる電流反転直前,直後のプラズマ位置制御やガスパフによる密度制御が必要であることを示している. さらに1.5サイクルAC運転を行うための3段の電解コンデンサーからなるオーミック加熱回路を製作し,正常に動作することを銅線を用いた模擬プラズマに電流を流すことによって確認した.その結果を図2に示す.正,負,正の1.5サイクル電流が流れることがわかる. さらに実際のプラズマを用いて実験を行った.プラズマ位置の最適化がまだ不十分なために,電流反転時にプラズマ電流のない状態が若干の間あるが,図3に示すように全体的に1.5サイクルACプラズマ実験を示す結果が得られた.これはこの分野における世界最高記録である.第3パルスはフィードバック電流に印加する外部パルス電圧の印加時間によって制限されており,さらなる改善が可能である. 参考文献 (1)O.Mitarai et.al.,Fusion Tech.,15(1989)204,and 20(1991)285. (2)O.Mitarai et al.,Bull.Am.Phys.Soc.,29,1337(1984),and Nucl.Fusion,27(1987)604. (3)O.Mitarai et al.,Nucl.Fusion,投稿中. (4)B.Tubbing et al.,Nucl.Fusion,32,(1992)967.
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