研究課題/領域番号 |
07044196
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 暢夫 (1996) 京都大学, 農学部, 教授 (50026556)
阪井 康能 (1995) 京都大学, 農学部, 助教授 (60202082)
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研究分担者 |
由里本 博也 京都大学, 農学部, 助手 (00283648)
グッドマン ジョエル・M テキサス大学, サウスウエスタン医学センター, 助教授
GOODMAN Joel M Southwestern Medcal Center, Texas Univ.
グッドマン ジョエル M テキサス大学, サウスウエスタン医学センター, 助教授
加藤 暢夫 京都大学, 農学部, 教授 (50026556)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | Candida boidinii / Saccharomyces cerevisiae / peroxisome / Pmp30 / Pmp27 / Pmp47 / dyhydroxyacetone synthase / dihydroxyacetone synthase / Peroxisome |
研究概要 |
ペルオキシソームは全ての真核生物に存在する細胞内小器官で脂肪酸、コレステロール、アミノ酸代謝などの重要な代謝機能が知られている。最近、ペルオキシソーム膜タンパク質(PMP)がペルオキシソーム形成やペルオキシソーム酵素の活性に重要な役割を果たし、その欠陥が重篤な遺伝病を引き起こすことなどが指摘されている。またペルオキシソームへのツ-ティングシグナルでは、マトリクス酵素のC-末端に存在するPTS1とN-末端に存在するPTS2が明らかにされているが、PMPについては既知のPTSは機能していない。そこで本研究では、PMPの生化学的機能とペルオキシソーム形成との関連性、およびペルオキシソームへのソーティング機構を解明することを最終目標として、そのモデル生物としてメタノール資化性酵母を用いた実験系により生化学的、細胞生物学的な解析を行った。この研究成果は、PMPが遺伝病の病因遺伝子となっていることから、基礎医学への貢献も期待でき、さらに、酵母での実験系は真核生物におけるPMP機能とソーティングの保存性を知り、ヒトPMPを解析するための実験的基盤を与える。 まず、メタノール資化性酵母Candida boidiniiのPmp47、Pmp20についてノザン、ウェスタン解析及びそれぞれのプロモーターをレポーター遺伝子に連結し、mRNA及びタンパク質レベルでの制御機構を解析し、マトリクス酵素の解析結果と比較することにより検定した結果、マトリクス酵素の発現に先んじてPMPの発現が観察され、これらの発現制御がプロモーターレベルで行われていることを明らかにした。またPMP20、PMP30、PMP47遺伝子をクローニング、これらの遺伝子破壊株を作成し、ペルオキシソームマトリクス酵素にその代謝が依存するメタノール・オレイン酸・_<D->アラニンでの生育特性を観察した。PMP30破壊株(pmp30Δ),PMP47破壊株(pmp47Δ)に関しては、その発現パターンから得られた情報とは異なってメタノールでの生育のみが不能となっていた。 pmp30Δ株の電子顕微鏡観察により、Pmp30がペルオキシソームの増殖や分裂・形態保持に関わっていることが明らかになった。またSaccharomyces cerevisiae PMP27遺伝子と真にホモログ遺伝子であることを両宿主を用いた相補性試験により確認した。 pmp47Δ株については、メタノールで誘導したところ、マトリクス酵素のうち、アルコールオキシダーゼおよびカタラーゼは野生株と同様にペルオキシソームに局在していたが、ジヒドロキシアセトンシンターゼ(DHAS)が細胞質で不活性型の凝集体を形成していたことから、Pmp47はDHASのペルオキシソームへの輸送あるいはフォールディングに関与していることが示唆された。さらに、ペルオキシソームを形成しない変異株でPMP47遺伝子を破壊した株について解析したところ、DHASは細胞質に活性型で存在しており、Pmp47がミトコンドリアのADP/ATPエクスチェンジャーと相同性を持つことと併せて考えると、DHASのペルオキシソームへの輸送と活性発現にはPmp47が輸送する何らかの因子が必須の役割を演じていることがわかった。 つづいて、Pmp47のペルオキシソームへのソーティングシグナルについて解析した。Pmp47はペルオキシソーム膜内在性で膜貫通領域を6カ所持ち、4回目の貫通領域から5回目の貫通領域までの部分がソーティングシグナルとしてはたらきうることが示されてきた。そこでさらにソーティングシクナルを特定するために、Pmp47のアミノ酸配列の一部をレポータータンパク質としてchloramphenicol acetyltransferase及びgreen fluorescent proteinなどと融合させ、その局在性を観察したところ、Pmp47アミノ酸配列でマトリクス側に面している225〜244番目までの20アミノ酸からなる親水性のループが、ペルオキシソームへのソーティングシクナルであることを見いだし、ペルオキシソーム膜内在性タンパク質のソーティングシグナル(mPTS)であることをはじめて明らかにした。
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