研究課題/領域番号 |
07044198
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
相原 茂夫 京都大学, 食糧科学研究所, 助教授 (20027197)
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研究分担者 |
デルーカス ローレンスJ アラバマ大学バーミンガム校, 高分子結晶解析センター, 教授
DELUCAS Lowrence J Center for Macromolecular Crystallography, University of Alabama at Birmingham
DELUCAS Lawr アラバマ大学, バーミンガム校・巨大分子結晶解析センター, 教授(センター長)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
1996年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1995年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | リゾチーム / タンパク質結晶成長 / 蒸気拡散法 / X線結晶構造解析 / 分子パッキング / 水の構造 / 微小重力 / スペースシャトル / 結晶成長 / 結晶化容器 |
研究概要 |
宇宙の微小重力環境はタンパク質をはじめスペースシャトルを利用して宇宙の微小重力環境の下でニワトリ卵白リゾチームの結晶化を行った。結晶化方法は蒸気拡散法の原理に基づいて製作された装置を用いた。 単斜晶が晶出する条件では、宇宙では形状の異なる2種類の単斜晶の他に斜方晶が得られた。また、同一条件で、斜方晶が晶出した(MIR16)。一方、正方晶の条件でも正方晶以外に斜方晶と思われる結晶が晶出したが(STS-73)、後者の回折データは収集できなかった。形状の異なる単斜晶は厚みのある結晶(β=114°)と扁平な結晶(β=90°)で、外観で容易に区別することができ、宇宙では専ら後者の結晶が得られる確率が高かった。しかし、X線結晶構造解析の結果、これら2種類の単斜晶は結晶内部の分子配列が同じであったことから、形態的相違については宇宙と地上の環境差による結晶面の成長速度の差に起因するものと考えられる。一方、斜方晶については地上で晶出した正方晶や単斜晶を30℃以上の高温条件においたとき現れる斜方晶(high temperature form)と宇宙で晶出した斜方晶では、結晶内の分子パッキングが全く異なっていた。一方、地上でも宇宙の斜方晶と同じ結晶内分子パッキングを有する斜方晶が晶出したという報告はあるが、分解能が6Åで、それ以後の研究報告がなく、地上の結晶については研究が進んでいない。次に正方晶について、宇宙で晶出した正方晶は結晶内分子パッキングが地上の正方晶と全く同一で、分子構造についても主鎖で比較する限り有意の変化は認められなかった。 以上のように、宇宙では条件によって地上の結晶とは空間群の異なる結晶が晶出することが判明した。しかし、3種類の空間群(単斜晶、斜方晶、正方晶)に属する宇宙並びに地上の結晶について構造解析した結果、得られた分子構造を比較すると、タンパク質分子自体の構造的変化は数ケ所に揺らぎの多い箇所が認められたものの、宇宙と地上の結晶の間で本質的に顕著な差異はなく、タンパク質分子に結合した水の構造についても保存性の高い3分子の結合水は共通に保存されていた。このことは宇宙の微小重力はタンパク質分子の構造自体には影響を与えないが、タンパク質の結晶核形成時にタンパク質分子間の相互作用に影響することを示唆しており、宇宙ではタンパク質分子表面の物理的特性、すなわち、分子表面の電荷や疎水性領域の分布が地上に較べて結晶核生成時の分子間相互作用に対して重要な意味を持ち、かつ、微小重量場では結晶核の動きが小さいために空間群の異なる結晶核が生成したものと推察される。
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