研究課題/領域番号 |
07044225
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高津 聖志 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10107055)
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研究分担者 |
SPRINGER Tim ハーバード大学, 医学部, 教授
MELCHERS Fri バーゼル免疫学研究所, 所長
菊地 雄士 (菊池 雄士) 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60262078)
木梨 達雄 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30202039)
TIMOTHY Spri ハーバード大学, 医学部, 教授
FRITZ Melche バーゼル免疫学研究所, 所長
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1996年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1995年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 細胞表面機能分子 / 接着分子 / サイトカイン受容体 / IL-5受容体 / シグナル伝達 / インテグリン / サイトカインレセプター / インターロイキン5 / レセプター型チロシンキナーゼ / IL-5Rα欠損マウス |
研究概要 |
細胞の機能分化や機能発現には抗原受容体、接着分子、サイトカイン受容体などの細胞表面機能分子を介したシグナルが重要な役割を担っている。本研究ではこれらのシグナル伝達系の分子機構を明らかにすることを目的とした。 【方法及び研究成果】 1.ヒトIL-5受容体α鎖(hIL-5Rα)に対する単クローナル抗体を初めて作製し、受容体会合分子とhIL-5刺激伝達経路についてhIL-5反応性細胞株、ヒト好酸球を用いて検討した。hIL-5刺激後の細胞可溶化物からのみβ鎖およびチロシンリン酸化された3つの蛋白が共沈すること、hIL-5Rαとβ鎖はhIL-5非存在下ではそれぞれ単独で存在してhIL-5存在下に二量体を形成することを初めて示した。また、hIL-5刺激によりJAK2のチロシンリン酸化およびSTAT5の活性化が見られ、末梢血好酸球ではSTAT5の活性化に与えてSTAT1の活性化が誘導される例があることを明らかにした。 2.免疫系、血液系細胞のインテグリンによる接着は抗原や種々のサイトカイン、ケモカインによってインテグリンの発現ではなく接着性が制御されているのが特徴である。肥満細胞はホルボールエステルPMA、steel factor(SLF,ckit ligand)や、高親和性IgE受容体(FcεRI)刺激によってVLA-5(α5β1)を介し、速やかにフィプロネクチン(FN)に接着する。今回これらの刺激によるVLA-5の接着性亢進の機構を解析した。骨髄由来肥満細胞をSLFで刺激するとVLA-5に対して一過性に接着性が亢進する。SLFのレセプターであるc-kitはPDGFレセプターファミリーに属するレセプター型チロシンキナーゼであるので、PDGFレセプターを肥満細胞に導入してSLF/c-kit同様にFNに接着誘導するか調べたところ、肥満細胞はPDGF刺激に反応してSLFと同じ程度にFNに接着した。PDGFレセプターのsrc、PI3キナーゼ、PLCγ-1などとの結合部位に突然変異を入れVLA-5の接着性への関与を調べた結果、PI3キナーゼとPLCγ-1の結合部位の両方を欠失した場合のみ接着誘導が阻害された。またPI3キナーゼやPKCの阻害剤を用いた結果から、レセプター型チロシンキナーゼによる接着誘導にはPI3キナーゼとPLCγ-1/PKCの独立した2つの経路が存在することがわかった。更に肥満
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細胞における各刺激によるVLA-5のFNに対する親和性やVLA-5分子の細胞表面上での分布の変化をVLA-5の結合部位をもつFNの80kD断片を作製して調べた。未刺激、SLF、PMA刺激では80kD断片の有意な結合は見られなかったが、FcεRI刺激では80kD断片の結合が増加し、親和性はおよそ30nMであった。肥満細胞上でのVLA-5の分布を免疫走査型電子顕微鏡法で調べた。未刺激の肥満細胞microvilliに覆われ、VLA-5は細胞体表面に斑上に存在しているがPMAやSLFの刺激によってmicrovilliが消失しひだ状に変化し、VLA-5は細胞体表面及びひだ上にも認められた。これらのことよりRMA,SLF,FcεRI刺激はともに肥満細胞のFNへの接着を誘導するが、PMAとSLFはおもにVLA-5の局在変化をおこし、FcεRIはVLA-5の親和性を変化させていることが明らかになった。 3.胚中心B細胞が発現している免疫機能分子の解析を行い、胚中心B細胞の一部がIL-5RないしCD38、あるいは両分子をともに発現していること、胚中心B細胞のほとんどがIL-4RとCD40分子をともに発現していることを明らかにした。B220^+/IgD^-/PNA^+を指標として胚中心B細胞を濃縮し、IL-4、IL-5、抗CD40抗体刺激に対する応答性を解析し、これらの刺激が共存した場合に最も効率よく胚中心B細胞を抗原特異的IgG1抗体産生細胞へと分化させること、IL-4と抗CD40抗体刺激により胚中心B細胞の表面のIL-5Rの発現が増強されることを明らかにした。 4.脾臓B細胞を抗CD38抗体で刺激すると有意な増殖反応が見られたがIg産生は見られなかった。その系にIL-5を共存させると増殖反応は10倍以上増加し、抗体産生細胞への分化の指標と考えられているBlimp-1遺伝子の発現とIg産生が誘導された。またCD38刺激にともないBruton's tyrosine kinase(Btk)のチロシンリン酸化が見られ、Btk遺伝子が変異のあるXIDマウスのB細胞はCD38刺激に応答しないことが初めてわかった。 5.IL-5Rα遺伝子欠損マウスの作製に初めて成功した。IL-5受容体α鎖欠損マウスではCD5陽性B(B-1)細胞数が野生型マウスに比べて有意に減少しており、血中IgM値は低く、IL-5依存性B細胞活性化は認められなかった。また、骨髄細胞の培養系においてIL-5依存性の好酸球のコロニー形成が障害されていた。 隠す
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