研究課題/領域番号 |
07044229
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堅田 利明 東京大学, 薬学部, 教授 (10088859)
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研究分担者 |
石川 義弘 米国, ハーバード大学・医学部, 準教授
星野 真一 東京大学, 薬学部, 助手 (40219168)
櫨木 修 東京大学, 薬学部, 助教授 (80142751)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1996年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1995年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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キーワード | GTP結合タンパク質 / 細胞膜受容体 / イオンチャネル / アデニル酸シクラーゼ / 情報伝達 / ADPリボシル化 / イノシトール脂質3キナーゼ / ワ-トマニン / シグナル伝達 |
研究概要 |
動物細胞の原形質膜表面上には、ホルモンなどの細胞外アゴニストと結合する種々の受容体が存在し、アゴニストのもたらす情報を認識受容している。受容体にアゴニストが結合するとその情報の多くは、細胞膜の内側に向いて存在する膜結合性酵素やイオンチャネルなどの効果器系へと伝達されるが、この種の情報伝達経路にはGTP(GDP)と結合する制御蛋白質(G蛋白質)が介在している。本研究では、G蛋白質によって制御される効果器系のうち、最近、その分子多様性が明らかにされつつあるアデニル酸シクラーゼとフォスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3-K)について、アデニル酸シクラーゼの研究ではその第一人者である米国ハーバード大学医学部の石川博士らとの共同研究により、生理化学的、生化学的、および分子生物学的手法を総合的に用いて検討し、以下の点を明かにした。 1)モルモット好中球におけるアデニル酸シクラーゼの活性制御 1.好中球のアデニル酸シクラーゼの特性としては、G_sを介する活性化が、走化性因子の受容体刺激(G_iの活性化)によって増強され、フォルスコリンはこれを抑制することが、細胞レベルで明かにされた。2.これらの効果は、種々の方法によって細胞内カルシウムイオンを変動させた細胞においても観察され、上記のユニークな特性が、好中球細胞に発現するあるサブタイプのアデニル酸シクラーゼとG蛋白質との直接の相互作用による効果であることが示された。3.さらに、これらの特性は、好中球より部分精製されたアデニル酸シクラーゼ標品においても観察され、好中球のアデニル酸シクラーゼは、G_s-α存在下に、G_iから供給されたβγサブユニットによって相乗的に活性化されることが明らかにされた。 2)フォスファチジルイノシトール3キナーゼの活性調節 イノシトールリン脂質(PI)のD-3位水酸基をリン酸化するPI3-キナーゼ(PI3-K)は、その調節サブユニットに存在するSrc homology2領域を介して、増殖因子受容体あるいは非受容体型キナーゼによってチロシンリン酸化された基質蛋白質と結合する。我々は、真菌代謝産物のワ-トマニンがPI3-Kを特異的に阻害すること、また好中球での走化性因子刺激に応答した活性酸素産生など、G蛋白質連関型受容体刺激を介する速い細胞応答にもPI3-Kが関与することを見い出した。2種の細胞膜受容体ファミリー、すなわちチロシンキナーゼ型とG蛋白質連関(7回膜貫通)型という異なるタイプの受容体刺激によって活性化されるPI3-Kについて検討し、以下の知見を得た。 1.PI3-Kにはいくつかのファミリーが存在するが、好中球細胞ではG蛋白質βγサブユニット(Gβγ)に感受性があるタイプとして、チロシンリン酸化ペプチドには全く感受性を示さないものと、リン酸化ペプチド存在下にGβγによる活性化がさらに増強されるものが存在した。2.インスリンと走化性因子の両者で無傷好中球を刺激した際には、相乗的なPI3-Kの活性化が観察され、2種の受容体刺激の制御を受けるPI3-Kが生理的にも機能していることが示された。3.CHO細胞においても認められる上記の増強作用は、アクチン線維の再形成による膜ラッフリングの増大を伴った。4.ラット肝臓より種々のタイプのPI3-Kを精製して検討を加えた結果、チロシンリン酸化ペプチドとGβγによって相乗的に活性化される特性をもつPI3-Kは、βタイプを触媒サブユニットにもつファミリーであることが明らかにされた。
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