研究課題/領域番号 |
07044234
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小野 輝夫 新潟大学, 医学部, 教授 (00000927)
|
研究分担者 |
熊谷 英敏 新潟大学, 医学部, 助手 (20281008)
榊原 順 新潟大学, 医学部, 助手 (90242403)
STEIN J.P. ニューヨーク州立大学, 薬理学, 助教授
SCHROEPFER G ライス大学, 化学部, 教授
SHECHTER I. 米国防衛医大, 生化学部, 教授
PRESTWICH G. ニューヨーク州立大学, 化学部, 教授
STEIN Joseph The State Univ.of New York・Associate Professor
藤井 博 新潟大学, 医学部, 助教授 (90165340)
LAW J.A アリゾナ大学, 生化学部, 教授
SCHROPFER G. ライス大学, 化学部, 教授
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
1996年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1995年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
|
キーワード | エポキシダーゼ(SE) / ベンゾフェノン誘導体 / HMG-CoA還元酵素 / LDL-レセプター / 遺伝子発現 / 染色体8q24.13 / D8S508 / SRE / NF-Y / コレステロール / スクアレン / スクアレン・エポキシダーゼ / 阻害剤 / 動脈硬化 / 高脂血症 / スクリーニング / バイオセンサー |
研究概要 |
1.SE酵素の構造と機能ドメイン 小野とPrestwichはネズミのΔ^<99>リコンビナントSEのE.coliでの発現系を確立し、精製SE酵素標品に対しフォトアフィニティ標識化合物としてベンゾフェノン誘導体を用い基質、阻害剤、FADアナログの酵素蛋白修飾からこれらのアナログの結合ドメインの決定を試みた。その結果FAD誘導体で対照の120-30%の酵素活性を検出、本酵素がフラビン酵素である可能性を確認した。また基質アナログの結合したシアンブロミド処理後のペプチド断片(14kDa)のアミン酸配列(N末端を含む)から、酵母と哺乳類間のホモロジー検索で2番目に保存率の高い推定FAD結合領野の直後が基質結合部位であると推定した。また阻害剤アナログの結合したリジルエンドペプチダーゼ処理ペプチド断片からアナログの結合したトリペプチドを質量分析計で同定、阻害剤結合部位が酵母と哺乳類の酵素で最もホモロジーが高かったウンデカペプチドの極く近傍に位置することを明らかにした。 2.SE酵素の調節 小野と榊原は培養細胞を用いてSE酵素の遺伝子発現調節をHMG-CoA還元酵素、LDL-Rと比較した。対照に比べリポ蛋白欠乏血清(LPDS)下のL929細胞培養では明らかにSEmRNAも酵素蛋白量も増加した。同様の結果はヒトの細胞株(HepG2,HeLa,Chang Liver cells)でも認められ、これらのSEmRNAの増加は細胞に25-hydroxycholesterolあるいはコレステロールを与えることで投与量依存的に阻止された。LPDSのSE酵素阻害剤の存在下ではSE、HMG-CoA還元酵素、LDL-R共にmRNAが増加したが、リポ蛋白含有血清のSE酵素阻害剤の存在下では何れの酵素蛋白でも遺伝子のメッセージに影響はなかった。これらの結果はShechterらが解析したスクアレン合成酵素での調節と一致して内因性に生成されたステロールが転写レベルでSE発現を調節していることが示された。また熊谷はHMG-CoA還元酵素の分解過程がコレステロールにより調節されているのと比較し、SEのターンオーバーはステロール感受性が極めて低いことを見出した。 3.ヒトSEゲノムDNAの単離と構造決定 榊原はヒトのゲノムライブラリーをスクリーニングし、全長11エクソンを含む17kbのヒトSE遺伝子を単離した。10個のイントロンは87から3.2kbの範囲にあった。エクソンI,IIはそれぞれ推定膜結合ドメイン、FAD結合モチーフを含む他、エクソンVIIIには酵母と哺乳類の酵素のホモロジー検索で最も保存されているウンデカペプチドを含んでいた。これらの特徴をShechterらの単離したスクアレン合成酵素遺伝子と比較検討した。 4.ヒトSE遺伝子の染色体局在 榊原はヒトSE遺伝子をクローニングし、これをプローブにヒト/ケッ菌類体細胞ハイブリッドパネルをテンプレートにPCRでマッピングした。最終的に染色体8に局在し、ミクロサテライトマーカーの解析から8q24.13に存在することを突き止め、FISH法でも確認した。この情報を基に遺伝子異常疾患の候補としてLanger-Giedion Syndromeが推定され、これら疾患の不ケン化脂質の分析をSchreopferと共に行なっているが、未だ疾患の確認までには至っていない。 5.SE遺伝子のプロモーター領域の解析 榊原と小野はヒトとネズミのSE遺伝子の5'配列を決定しそれらの転写開始点からの5'フランキング配列を並べた。ヒトとネズミで極めて良く保存された配列が転写開始点から上流700-800bp部分にあり、これら保存領野を中心にコレステロールによる調節領野を決定するため、5つのキメラルシフェラーゼプラスミドとプロモーター欠失フュージョン構築物を作りHeLa cellに導入発現を調べた。その結果、限られた2つの保存領域がステロールによるSE遺伝子の調節に決定的であることを明かに出来た。スクアレン合成酵素遺伝子でのShechterらによるSRE解析及びトランスアミナーゼ遺伝子でのSteinらによるレチノイン酸解析との情報交換から、SE遺伝子は主にクラシカルなSRE-like配列及びNF-Y配列がステロールによる調節の主要なcis-elementになっていると推定された。
|