研究課題/領域番号 |
07044242
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
前田 秀一郎 山梨医科大学, 医学部, 教授 (10117244)
|
研究分担者 |
EPISKOPOU V. 王立医科大学院大学, マウス発生学研究室, 室長
SARAIVA M.J. ポルト大学, 医科学研究所, 教授
BUXBAUM J.N. ニューヨーク大学, 医学部, 教授
COSTANTINI F コロンビア大学, 医学部, 教授
GOTTESMAN M. コロンビア大学, 癌研究所, 所長
島田 和典 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40037354)
GOTTESMAN Max E Institute of Cancer Research, Columbia University
COSTANTINI Franklin D Department of Genetics and Development, Columbia University
BUXBAUM Joel N Laboratory of Molecular Pathogenesis, New York Department of Veterans Affairs Me
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1996年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1995年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
|
キーワード | アミロイドーシス / トランスサイレチン / 疾患モデルマウス / 家族性アミロイドポリニューロパチー / ジーンターゲッティング / 胚幹細胞 / 血清アミロイドP成分 / トランスジェニックマウス / トランスサイレチン(プレアルブミン) / ジーンターゲティング |
研究概要 |
1,ジーンターゲッティング法で作製した無トランスサイレチン(TTR)マウスに家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)の原因となるヒト変異ttr遺伝子を導入する方法で作製したFAPホモ接合体症例のモデルマウスを用いた解析から、マウス内在性の正常TTRはヒト異型TTRから成るアミロイドの沈着に影響しないこと、ヒト異型TTRは、甲状腺ホルモンT4やレチノール結合蛋白質と結合する能力を有することが明らかとなった。またこの疾患モデルマウス血中にはマウス正常TTR単量体とヒト異型TTR単量体とから成るヘテロTTR四量体が存在することを見出した。 2,種々のアミロイドーシスで沈着する異なるアミロイドに共通の微量構成成分、血清アミロイドP成分(SAP)がアミロイドーシスの発症にどう関与するかを明らかにするために、以下のようにジーンターゲッティング法で、SAPを完全に欠損した変異マウス株を作製した。(1)マウス胚幹(ES)細胞株CCEの由来した129/Sv//Evマウスの遺伝子ライブラリーより単離したsap遺伝子領域を用いて、以下のような置換ベクターを構築した。置換ベクター:5'-flanking region(約1.6kb)及び3'-flanking region(約8.7kb)を含む全sap遺伝子の第2エクソンに、ES細胞で発現するPGK(phosphoglycerate kinase)プロモーターに接続したG418耐性遺伝子を挿入し、さらに、ES細胞で発現するMC1プロモーターに接続した単純ヘルペスウイルスのtk遺伝子を3'端に結合したもの。(2)この置換ベクターをCCE細胞株に導入し、ベクターを取り込んで、G418とFIAUとに耐性となった250コのクローンの中から相同組換えでsap遺伝子に挿入変異が導入された6コの細胞株をサザーンブロット法及びPCR法で選択した。(3)これらsap遺伝子に挿入変異をもつES細胞の中から4コを選んでC57BL/6マウスの胚盤胞に注入し、キメラマウスを得た。(4)これらキメラマウスの雄とC57BL/6マウスの雌とを交配させ、2匹の雄キメラマウスが生殖細胞のsap遺伝子に挿入変異を持つことを確認した。(5)一対のsap遺伝子の一方に挿入変異をもつマウス株同志の交配により生まれた200匹のマウスの遺伝子型を調べ、野生型、sap遺伝子変異のヘテロ接合体及びホモ接合体マウスが、メンデルの分離の法則に合う比率で存在することを見出した。また、ホモ接合体マウス血中にはSAPが存在しないことをWestern blot法で確認した。この結果は、SAP欠損マウスの個体発生には異常が無いことを示唆する。これらヘテロ接合体及びホモ接合体マウスの形態、行動や繁殖能力には異常を認めない。次に、無SAPマウスにAAアミロイドーシスの惹起を試みた。AAアミロイドーシスは、1mlのFreund's complete adjuvant、1mlのPBS及び25mgの加熱殺菌したM.butyricum菌体から成るエマルジョンを、マウスの腹腔内に体重110gあたり0.1ml注射して惹起した。(6)エマルジョンを投与すると野生型及びヘテロ接合体マウス血中のSAP濃度は、2日後に投与前の約25倍に増加し、その後徐々に減少したが、18日後でも、約15倍の高値であった。一方、血清アミロイドA蛋白(SAA)濃度は共に、1日後に投与前の約100倍に増加し、18日後でも、約80倍の高値であった。この結果はSAPの欠損はマウスSAAの急性期反応に影響しないことを示している。(7)9週齢の野生型及びホモ接合体マウス各5匹にエマルジョンを投与後、18日目の脾アミロイドの沈着を調べた。この結果、野生型及びホモ接合体マウス共に4匹にAAアミロイドの沈着を認めた。この結果は、AAアミロイドの沈着にSAPは必須では無いことを示している。現在、SAPがAAアミロイドの沈着を促進するか否かを明らかにするために、エマルジョン投与後の脾アミロイドの沈着を野生型及びホモ接合体マウスについて経時的に比較解析している。 3,ジーンターゲッティング法を用いて、内在性ttr遺伝子にヒトで第I型FAPの病因となる点変異のみをもたせたマウスES細胞を用い、キメラマウスを作製した。生殖系列に目的の変異をもつキメラマウスが得られれば、FAPの病因となる点変異のみをもつマウス株の作製を目指す。
|