研究課題/領域番号 |
07044245
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
曽我部 正博 名古屋大学, 医学部, 教授 (10093428)
|
研究分担者 |
SACHS Freder ニューヨーク州立大学, 医学部, 教授
SACHS Frede ニューヨーク州立大学, 医学部, 教授
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | SAチャネル / mec遺伝子 / ショウジョウバエ / 体積調節 / 抗体 / クモ毒 / cGMP依存性チャネル / 遺伝子クローニング / 分子生物学 / MEC遺伝子 / A6細胞 |
研究概要 |
SA(伸展活性化)チャネルは大腸菌からヒト細胞に至る広範な細胞に発現しており、細胞膜の張力を感知することを通して、細胞の成長、分裂、体積調節、形態形成、運動などの基本的機能に関わることが示唆されている。しかしその分子実体が不明なために更なる研究の進展が阻まれている。したがって現時点での最重要課題の一つはその分子実体の解明である。ごく最近、大腸菌のSAチャネル遺伝子がクローニングされたが、その構造はかなり特殊で、真核生物のそれとは相同性が期待できず、真核生物のそのものから直接SAチャネルの遺伝子を求めざるを得ない状況にある。そこで線虫の機械受容ミュータントから分離されたmec遺伝子に期待が寄せられている。なぜならその遺伝子から予想されるアミノ酸配列がこの遺伝子産物がイオンチャネルである可能性を強く示唆しているからである。しかし、現在のところ線虫細胞の電気生理学が難しく、かつこの遺伝子を他の細胞に発現させることも困難なために、mec遺伝子が実際にSAチャネルをコードしているか否かは明らかではない。 本計画の目的は、米国のF.Sachs博士と協力して、(a)生理学的・遺伝学的研究に適した真核生物材料(ショウジョウバエやcell line)からSAチャネル遺伝子を同定する一方、(b)SAチャネルに特異的なクモ毒成分の精製を進め蛋白質レベルからのSAチャネル研究のツールを得て、SAチャネルの分子生物学的研究の突破口を開くことである。2年間の共同研究によって以下のような成果が得られた。 (1)イヌ腎上皮由来のcell line,MDCK細胞の遺伝子ライブラリィを検索して、mec相同遺伝子を同定した。現在この遺伝子のクローニング、および体積調節機構との関連の解析が進行中である。 (2)ショウジョウバエ遺伝子ライブラリィから機械受容に関連する可能性のある新しい型のcGMP依存性イオンチャネル遺伝子(CNGC2)がクローニングされ、その遺伝子配列を決定した。 (3)CNGC2を培養(COS)細胞に導入して遺伝子を発現することに成功した。現在発現したCNGC2の機能アッセイが進行中である。 (4)CNGC2のアミノ酸配列をもとに抗体を作成することに成功した。これを応用してCNGC2の発現分布を解析中である。 (5)クモ毒からSAチャネルをブロックする数種類のペプチド成分が単離精製された。 (6)それらのペプチドがPC12細胞の体積調節反応を阻害したことからこの反応にSAチャネルが関与することが明らかとなった。 (7)有効ペプチドの低親和性成分についてその構造が決定された。高親和性成分の構造解析は現在進行中である。 研究期間中には、真核生物のSAチャネルの同定には至らなかったが、その候補遺伝子がいくつか明らかとなりその構造と機能の解析が現在進行している。また初めてSAチャネルに特異的な天然毒がクモ毒成分から抽出され、その構造決定と作用機所の解析が進行中である。 このように本共同研究によってSAチャネルの分子生物学と蛋白質科学を進めるための貴重なツールを得ることができ、当初の目的をほぼ達成することができた。今後これらのツールを活用してSAチャネル分子の構造機能連関、および生理機能に関する本格的研究を展開していきたい。
|