研究課題/領域番号 |
07044249
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 章 京都大学, 遺伝子実験施設, 教授 (00162694)
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研究分担者 |
STORB Ursula シカゴ大学, 分子遺伝学・細胞生物学科, 教授
MARTIN Teren シカゴ大学, 分子遺伝学・細胞生物学科, 教授
縣 保年 京都大学, 遺伝子実験施設, 助手 (60263141)
MARTIN Terence Edwin Department of Molecular Genetics and Cell Biology, The University of Chicago
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1996年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 抗体クラス変換 / 抗体遺伝子 / S領域 / 遺伝子組換え / 非組換え型転写 / トランス・スプライシング / トランスmRNA / 多重アイソタイプ同時発現 / アレルギー / CD40リガンド |
研究概要 |
我々は、抗体クラススイッチの中間過程とも考えられる、多重アイソタイプの同時発現がtrans-splicingによって起こるとの仮説を提示した。この仮説を検証するために、ヒト模型μ鎖遺伝子導入マウスなどの脾臓細胞を用いるモデル実験を行い、導入遺伝子の可変部と内在性のマウス定常部とからなるmRNA(trans-mRNA)が産生されることを証明し、これを支持する結果を得てきた。本研究では、RNAプロセシングによって抗体のクラススイッチが調節されている可能性とその分子機構を解明することを目的として、trans-mRNAの産生を制御する因子を検索した。加えて、この調節における遺伝子の組換えとRNAプロセシングの重要性を進化学的に考察するため、クラススイッチを完結する遺伝子組換えが起こり、これに必須であると考えられるS領域と類似する構造の有無をニワトリのμ鎖遺伝子について検索した。さらに、S領域を欠く導入遺伝子をdonorとしてもtrans-mRNAの発現が誘導できるか否かを検討した。 まず、われわれが先に確立した、ヒト発現型μ鎖遺伝子導入マウスの脾臓細胞をLPSとIL-4で刺激し、γ1およびε鎖のtrans-mRNAを産生させるモデル実験系に、抗γ1鎖抗体を添加しその効果を調べた。各アイソタイプのtrans-mRNA産生は導入遺伝子の可変部と各々の内在性定常部に特異的なprimerを用いたRT-PCR法により、検出・半定量した。その結果、抗γ1鎖抗体はγ1鎖とε鎖のtrans-mRNA産生を特異的かつ強力に抑制することを見い出した。同じ実験系に、可溶化高親和性IgE受容体α鎖を添加する実験を行ったところ、抑制の程度は上記の抗体添加に比べればやや劣るものの、ε鎖trans-mRNAの産生が特異的に抑制されることも発見した。さらに、この実験系において、可溶化CD40リガンドはLPSと同等以上に強くtrans-mRNAの産生を誘導した。以上の結果は、trans-mRNAによってコードされるアイソタイプの抗体に対する結合刺激によって、trans-mRNA産生がアイソタイプ特異的に負の制御を受けることを意味し、この過程、すなわち、RNAプロセシングによる多重アイソタイプ同時発現が生理的な条件下でも起こりうる、制御可能なクラススイッチの中間過程であるとの仮説を強く支持するものである。また、Fc受容体がある局面ではリガンドとしてB細胞などに信号を伝達する可能性があるという、この受容体の機能として全く新しい視点を提供するものでもある。 次に、ニワトリμ鎖定常部遺伝子のすぐ上流の塩基配列を決定したところ、5塩基を単位とする2種の繰り返し構造が見い出され、そのうちの下流側の配列は哺乳類のS領域の相補鎖と高い相同性を示した。この事実は、鳥類においても遺伝子組換えによるクラススイッチが存在する可能性と繰り返し配列(S領域)の機能的重要性を強く示唆している。 一方、SμおよびSγ2b領域を人工的に欠失させた発現型γ2b鎖遺伝子の導入マウスであるC lineの脾臓細胞をLPSとIL-4で刺激したところ、γ1鎖およびε鎖trans-mRNAが産生されることが確認された。このマウスの脾臓細胞で産生されたtrans-mRNAの量は、Sμ領域を持つμ鎖遺伝子導入マウスの脾臓細胞が産生するそれと大きな違いがなかった。この結果からtrans-mRNAがdonor遺伝子のS領域には依存しない機構によって産生されることが示された。この事実は、trans-mRNAの発現が染色体間のS-S組換えにはよらないことを意味し、RNAレベルでの発現機構すなわちtrans-splicingによるものであることを一層強く支持している。さらに、trans-mRNA発現がdonorをμ鎖に限らない、より一般的な機構であることも示唆している。
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