研究課題/領域番号 |
07044254
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横出 正之 京都大学, 医学研究科, 講師 (20252447)
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研究分担者 |
MAEDA Nobuyo ノースカロライナ州立大学, 医学部, 助教授
RUBIN Edward カリフォルニア州立大学, 医学部, 主任研究員
家原 典之 京都大学, 医学研究科, 助手 (20281727)
土井 俊夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (60183498)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 高脂血症 / 粥状動脈硬化 / アポE / アポ(a) / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / 粥上動脈硬化 |
研究概要 |
我々は高脂血症ならびに粥状動脈硬化の成因を発生工学的手法で解析することを目指してきた。このたびの申請においてはこの分野で先端的な成果をあげつつあるRubinならびにMaeda両博士との間で共同研究を行なうことにより以下のような成果をあげた。 (1)単球・マクロファージ系細胞の泡沫細胞化は脂肪線条病変の主体をなすが、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)とその受容体であるc-fmsは、これらの細胞の発生と分化に必須であると考えられている。我々は両博士から分与された粥状動脈硬化のモデル動物であるアポEノックアウトマウスにおいてM-CSFの情報伝達を抗c-fmsモノクローナル抗体で遮断することにより粥状動脈硬化の進展阻止が可能かどうか実験を試みた。マウスc-fmsと拮抗的に結合するラットモノクローナル抗体をアポEノックアウトマウス(6週齢および12週齢)に、それぞれ6週間にわたり腹腔内注射した(2mg/日、隔日投与)ところ、普通食、高脂肪食(0.3%コレステロール、19.5%カゼイン)どちらの食事を与えたアポEノックアウトマウスにおいても、AFS98を注射することにより、対照動物に比べて動脈硬化病変の進展が著名に抑制されることを見い出した。この成績はM-CSF/c-fmsは、動脈硬化病変上の単球1マクロファージ系細胞の発生分化とその維持に深く関与して、動脈硬化の進展に重要な役割を果たしていることを示すとともに、M-CSF/c-fmsを標的にした治療法の開発の可能性を示唆するものである。 (2)一方粥状動脈硬化の分子機構の解析のためアポEノックアウトマウスの分与での動脈硬化の形成過程においてマクロファージならびに血管平滑筋細胞の増殖ならびにアポトーシスの果たす役割につき検討を行なっている。現在組織学的解析を施行中であるが、今後PDGF、IL-1などの増殖因子、VCAM-1などの接着分子、ならびにサイトカインの関与につき、蛋白およびmRNAレベルでの検討を加える予定である。 (3)またアポEノックアウトマウスにおける粥状動脈硬化促進機構はヒトにおけるIII型高脂血症の疾患モデルと考えられる。その粥状動脈硬化形成に最も関与するリポ蛋白はレムナント粒子であるが、その血清レベルがLDL受容体の過剰発現により調節しうるかどうか解析するためにアポEノックアウトマウスと我々が作出したLDL受容体トランスジェニックマウスとを交配することにより、アポE欠失によるレムナントレベルと粥状動脈硬化促進がLDL受容体により抑制されるかどうか検討中である。 (4)アポ(a)は粥状動脈硬化および血管再狭窄に深く関わるLp(a)の構成成分であるが、霊長類など限られた種にしか認められず、したがって疾患モデル動物が得られないという問題があった。Rubin博士らはヒトアポ(a)を発現するトランスジェニックマウスを開発したが、これを導入することにより血清アポ(a)値の調節機構の解析を目指すとともに、粥状動脈硬化の進展に果たすアポ(a)の意義とくに平滑筋増殖との関わりにつき、血管障害モデルを作成して検討中である。 以上の研究の遂行のために、研究組織構成者ならびにその協力者が米国で開催された複数の学術集会に出席し成果を発表した。さらに両博士と研究成績につき検討するとともに今後の研究協力打ち合わせを行なった。現在もなお研究協力は進みつつあり、今後さらなる研究成果が期待される。
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