研究課題/領域番号 |
07044265
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 亀代次 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (80144450)
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研究分担者 |
大熊 芳明 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (70192515)
西條 將文 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (90221986)
安井 明 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60191110)
花岡 文雄 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (50012670)
WOOD Richard 王立癌研究所, 主任研究員
HOEIJMAKERS ヤン エラスムス大学, 医学部, 教授
HOEIJMAKERS Jan H.J Faculty of Medicine, Erasmus University
HOEIJMAKERS ヤン エイチ ジェイ エラスムス大学, 医学部, 教授
HOEIJMARKERS ジェイ.エイチ.ジ エラスムス大学, 医学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
9,300千円 (直接経費: 9,300千円)
1996年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1995年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | DNA修復 / αハイブリドシステム / 色素性乾皮症 / 遺伝子ターゲティング / ノックアウトマウス / コケイン症候群 / 酵母ホモログ / 紫外線 / 2ハイブリドシステム / DNA結合能 / Znフィンガー / RPA / エンドヌクレアーゼ |
研究概要 |
1、田中は、酵母のtwo hybrid systemを用いてXPA(色素性乾皮症A群)蛋白質と結合する新規の蛋白質、XAB2蛋白質(XPA-Binding Protein2)を同定した。XPA蛋白質とXAB2蛋白質の細胞内での結合を確認するため、以下の実験を行った。in vitro translation法で作成したXAB2蛋白質は、GST-XPA蛋白質に結合した。Baculovirusの系でXPAとXAB2遺伝子を強発現させた昆虫細胞の粗抽出液から、抗XPA蛋白質抗体を用いてXAB2蛋白質を、抗XAB2蛋白質抗体を用いてXPA蛋白質を、免疫共沈降させることができた。A群XP細胞にXPA遺伝子を導入しNER能が正常化したXP12ROSVトランスフェクタント(XP12ROSV/XPA)の細胞抽出液を用いて免疫沈降実験を行ったところ、抗XAB2蛋白質抗体によりXPA蛋白質を免疫共沈降させることができた。さらに、HeLa細胞粗抽出液から、抗XAB2蛋白質抗体によりXPA蛋白質が免疫共沈降でき、抗XPA蛋白質抗体によりXAB2蛋白質が免疫共沈降できた。一方、Hoeijmakersは、CSA、CSB(コケイン症候群A、B群)蛋白質がそれぞれゲルろ過上450kDa、>700kDaのサイズに分画され、大きな蛋白質複合体に含まることを示唆した。しかし、既知の蛋白質はCSA、CSB蛋白質に結合しなかった。田中はXAB2のアミノ酸配列よりXAB2がCSと結合する可能性を推測していた。そして、田中とHoeijmakersは共同実験を行い、XAB2が実際にCSBと結合することを明かにした。CSは、転写ないし転写と共役した修復機構に異常をもつことが知られており。XAB2がこれらの機構解明に重要な意義を持つことが示唆された。田中はWoodと共同し、XAB2がヌクレオチド除去の素過程には不必要であることも明かにした。 2、田中は、XPA欠損マウスがUVB誘発皮膚発癌に高感受性を示すことを明かにした。腫瘍の殆ど全ては扁平上皮癌と診断されたが、それらの腫瘍におけるp53遺伝子の突然変異について解析した。扁平上皮癌の48%にp53遺伝子の突然変異が認められ、一例を除いた全ての変異はピリミジンが二つ連続する部位に認められた。これらの突然変異の90%はC→Tトランジション、26%はCC→TTタンデムトランジションであり、突然変異がUVB損傷であるピリミジンダイマーや(6-4)光産物に由来するものであることが示唆された。また、正常ヒトやマウスに発生した紫外線誘発皮膚癌ではp53遺伝子の突然変異にホットスポットが認められたのに対し、XPA欠損マウスでは明らかなホットスポットが認められなかった。さらに、XPA欠損マウスでは突然変異の73%が転写鎖に認められ、正常マウスでは16%のみが転写鎖に突然変異が認められたことと際だった差異を示した。 3、田中が作成したXPA欠損マウスとHoeijmakersが作成したCSB欠損マウスを交配し、XPA/CSBダブル欠損マウスを樹立した。それぞれ単独の欠損では、ヌクレオチド除去修復能を欠損しているものの、マウスは大きな病理学的、形態学的異常や行動の異常を示さなかったのに対し、XPA/CSBダブル欠損マウスは生後20日以内に死亡した。このことは、XPAとCSBの関与する機構が異なり、それらが同時に欠損すると致死になることを示唆する。 4、花岡は、XPC蛋白質を精製しその遺伝子をクローニングするとともに、XPCと強固に結合する58kDaの蛋白質も精製した。花岡とHoeijmakersは共同実験を行い、58kDaの蛋白質が酵母RAD23DNA修復蛋白質のヒトホモログ(HHR23B)であることをみつけた。さらに、花岡とHoeijmakers、Woodは共同研究でHHR23BおよびそのホモログHHR22Aもヌクレオチド除去修復の素過程に必須であることを明かにした。 5、田中は、花岡、Hoeijmakers、Woodと共同し、XPAがRPAやERCC1と結合することを明かにするとともに、RPAやERCC1が結合するXPA蛋白質内のドメインを明かにした。また、表面プラスモン共鳴法を用いてRPAがERCC1よりも先にXPAに結合する可能性を示唆した。また、RPAやERCC1との相互作用によってXPAの損傷DNA結合能が増強することを明かにした。 6、安井は魚、ショウジョウバエ、有袋類などからも光回復酵素遺伝子をクローニングした。さらに、ヒトやマウスにも相同性の高い遺伝子があることをみつけ、これをクローニングした。安井はHoeijmakersと共同して、光回復酵素遺伝子のマウスホモログ遺伝子をノックアウトしたマウスを作成しつつある。
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