研究課題/領域番号 |
07044282
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山村 研一 熊本大学, 医学部, 教授 (90115197)
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研究分担者 |
BALLING Rudo ドイツ哺乳類遺伝学研究所, 所長
今井 賢治 ドイツ哺乳類遺伝学研究所, 研究員
ARFZT Karen テキサス大学, 動物学, 教授
要 匡 熊本大学, 医学部, 助手 (40264288)
阿部 訓也 熊本大学, 医学部, 助教授 (40240915)
KUNIYA Abe ASSOCIATE PROFESSOR,KUMAMOTO UNIVERSITY,SCHOOL OF MEDICINE
ARTZT Karen テキサス大学, 動物学, 教授
ARTZE Karen テキサス大学, 動物学, 教授
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1996年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1995年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | トランスジェニックマウス / YAC / BAC / 発生 / ポジショナルクローニング / 突然変異体 / 形態形成 / ゲノム解析 / 突然変異 / T / tコンプレックス |
研究概要 |
本研究ではポジショナルクローニング法とトランスジェニックマウス技術を結びつけ、巨大ゲノムDNA導入によって突然変異を機能的にレスキューする手法を確立し、これを利用して突然変異責任遺伝子を同定、単離することを目的とする。対象とするのはマウス17番染色体のt-コンプレックスにマップされる発生致死変異であるt^<w5>変異、神経系機能に関するqk(quaking)変異、或いは9番染色体にマップされる体節・骨形成に関与するtail kinks(tk)変異である。にそこで今年度はYAC導入マウス作製の基本技術の確立を行った。 我々は、現在までそれぞれの遺伝子座に関してポジショナルクローニングの手法により、原因遺伝子に数百kbの範囲にまで迫ってきている。これらはいずれも劣性突然変異であり、変異原因遺伝子を含むと予想されるゲノムDNA導入によりレスキューが可能と考えられる。すなわち、遺伝子型としてはホモ接合体でも(導入DNAによって相補され)表現型が正常な固体が得られた場合、導入DNA中に原因遺伝子があると考えられる。そこで、平成7年度は主にYAC(酵母人工染色体)クローンを用い、これを導入したトランスジェニックマウス作製法の確立を行った。DNA調製としては、まずt^<w5>領域から得られた650kbのYACクローンをパルスフィールド電気泳動法によって分離し、YAC DNAを含むゲル断片を切り出し、ポリアミンを含むバッファー中で平衡化した。アガロースゲルを消化するためにアガラーゼで処理し、これを微量透析装置により濃縮しYAC DNA溶液を調製した。このDNA溶液を再度パルスフィールド電気泳動によって展開し、サザンブロットを作製し、このYACクローンに含まれるプローブとハイブリダイズした。その結果、650kbの単一バンドが認められ、以上の手法により巨大YAC DNAを損傷することなく単離されたことが確認された。このDNAをマウス受精卵に導入し、3系統のYAC導入トランスジェニックマウス、Y11,Y31,Y35を樹立した。Y11系統では〜420kb、Y31系統では〜270kb,Y35系統では〜380kbの長さのYAC DNAが導入されていること、さらにトランスジーンのゲノムへの組込み部位は全ての系統で一カ所であり、かつ17番染色体以外であることをFISHによって確認した。現在それらのマ
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ウスを変異マウスと交配しt^<w5>変異がレスキューされるかを検討している。 以上のようにYAC導入マウス作製の基本技術は確立されたが、YACクローン自体の持つ問題点も明らかになってきた。YACクローンはインサートサイズが他のクローニングシステムと比較して大きいという利点を持つが、酵母内での相同組換えによりキメラ形成や欠失などDNAの再構成がかなりの頻度で起こることが知られている。実際、我々の用いたYAC650kbの内、左右両端、計350kb程度はキメラ部分であった。このようなYACの性質から、正確なゲノムの物理地図を作るのは困難な場合があり、さらにYACレスキューを指標として原因遺伝子を同定しようとする場合、ポジティブな結果が得られればよいが、ネガティブな場合は結論がでないことになる。BAC(細菌人工染色体)は大腸菌内で複製し、150-300kb程度のインサートを持つ。したがってインサートサイズはYACより小さいがより安定に存在し、DNA再構成は殆どないことが知られている。我々はtw5、tkの領域においてこれまでYACによってカバーしていた部分をBACで取り直しコンティグを作製した。その結果、tk遺伝子座ではD9Mit9を中心とした約500kb、4種類のBACクローンでカバーされる領域に原因遺伝子が存在することを見出し、t^<w5>ではH-2KからD17Mit148までの約1000kbのゲノム領域に原因遺伝子があり、その大半の部分をBACによってクローニングした。さらに、tk領域のBACクローンを導入したトランスジェニックマウス作製を始めている。BACインサートの調製はYAC DNA調製に用いた方法を応用し、ラムダファージのタ-ミネース酵素で線状化し、マイクロインジェクション法にてマウス受精卵に導入した。その結果、これまで24匹のマウスが得られ、4匹にトランスジーンの組込みが認められた(うち2匹は出生時に死亡)。現在これから系統の樹立を行っており、また他のクローンに関してもDNA調製、トランスジェニックマウス作製を進めている。またqk変異に関しては候補遺伝子が発見されたが、遺伝子ターゲティングの方法で新たに変異マウスを作製、元々のqk変異マウスと交配させ、遺伝的相補性試験を行った結果、原因遺伝子であることを結論づけた。現在、この遺伝子を含むBACクローンを導入し、レスキューされるか否か検討している。 隠す
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