研究課題/領域番号 |
07044283
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
中山 建男 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (60031712)
|
研究分担者 |
BUERSTEDDE J バーゼル免疫研究所, 研究員
武田 俊一 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60188191)
武知 進士 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (10222100)
高見 恭成 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (80236356)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1996年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1995年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
|
キーワード | ヒストン / 遺伝子破壊法 / 自己補償機構 / 遺伝子発現制御 / RNase protection assay / 2次元電気泳動 / RNose Protection assay / RNase Protection wethob |
研究概要 |
真核細胞における転写制御に関する研究は、様々な転写制御因子複合体の側面から数多く行われ、膨大な知識が蓄積してきた。しかし、その機構は極めて複雑で、いまだ不明な点が多い。一方、転写制御に関して、クロマチン構造自体の関与が期待されて久しい。 私共は、ニワトリヒストン遺伝子群は合計44個から成り、そのほとんどが約110kbの一つのクラスターに局在すること、H4を除くH1,H2A,H2B,H3の各ヒストンサブタイプに、アミノ酸配列の異なる6種、3種、4種、2種の異型(バリアント)が存在することなどを明らかにした。これらの各バリアントが、ヌクレオソームの各サブタイプの位置に等価にカセッティングされ得るなら、ヌクレオソーム構造として数百〜数千の可能性がある。さらに、ヒストン分子はアセチル化、リン酸化などの修飾を受けるため、その構造の多様性はさらに高くなる。 本研究課題で、これらのヒストン遺伝子およびヒストンバリアントの真の生理機能を明らかにすることを目的とし、ニワトリBリンパ細胞株DT40でジーンノックアウト法を用いて、種々のヒストン遺伝子欠失変異株を作製し、その性状を解析することによって、以下の成果を得ることが出来た。 1、各ヒストンサブタイプの遺伝子群には、主要な1〜2個の遺伝子が欠失しても、残りのメンバーの転写量が増加し、ヒストン量を一定に保つ自己補償機構が存在した。 2、110kbのヒストンクラスターのone alleleを欠失しても、残りのalleleの遺伝子の発現量が増大し、全てのヒストンサブタイプは質的、量的に変化せず、結果的に細胞機能に変化が認められなかった。 3、21個のヒストン遺伝子を含む57kbセグメントのtwo allelesを欠失した変異株で、残りの遺伝子の発現が増加し、ヒストン量は一定に保たれ、増殖速度、グローバルなクロマチン構造などは不変だった。しかし、4種のH1バリアント、1種のH2Bバリアントの消失を伴ったこの変異株の蛋白質の2D-PAGEパターンは変化していた。 4、H2A,H2Bなどの各コアバリアントを欠失した変異株でも、蛋白質の2D-PAGEパターンにそれぞれ独自の変化が認められた。 5、6個(12コピー)のH1遺伝子中、11コピーを欠失した変異株では、H1は約半量に減少し、逆にHMGは約2倍増加していた。増殖速度、グローバルなクロマチン構造に変化はなかったが、蛋白質の2D-PAGEパターンに変化が認められた。この結果は細胞の生存には1コピーのH1遺伝子、約半量のH1で十分であることを示している。 6、6種のH1バリアントをそれぞれ欠失した変異株で、蛋白質の2D-PAGEパターンに特異的な変化が認められた。この結果は各H1バリアントは特定の遺伝子発現制御に係わっていることを示している。 以上の結果に基づいて、今後さらに、ヌクレオソーム構造の多様性を規定するヒストンバリアント、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、デアセチラーゼ遺伝子などを欠失したDT40変異株を系統的に作製し、これら一連のクロマチン改変細胞の核(あるいはクロマチン)機能を詳細に解析し、特異遺伝子の発現制御に係わる核蛋白質の機能を明らかにしたい。得られる結果は、各ヒストンバリアントが組織特異的出現パターンを示すこと等と合わせ、高等真核生物の組織特異的な遺伝子発現制御機構解明の手がかりに成り得ると思われる。
|