研究課題/領域番号 |
07044301
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
矢倉 英隆 東京都神経科学総合研究所, 微生物学・免疫学, 参事 (60166486)
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研究分担者 |
水野 一也 東京都神経研, 微生物・免疫, 副参事 (00219643)
片桐 達雄 東京都神経研, 微生物・免疫, 主事 (00233742)
荻本 真美 東京都神経研, 微生物・免疫, 主事 (80158609)
KORETZKY Gar アイオワ大学, 医学部・内科学, 準教授
GARY Koretzk アイオワ大学医学部, 内科学, 準教授
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
1996年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1995年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | CD45 / アポトーシス / SHP-1 / SLP-76 / HCP |
研究概要 |
【研究目的】本研究では、第一に、CD45の分化段階特異的な作用機序の分子基盤について、CD45の基質、その制御機構、下流のシグナル伝達経路を解析すること、第二には、CD45以外の重要なチロシンホスファターゼを同定し、その作用様式を分化段階の異なるB細胞で解析することを目的としている。これらの解析により、最終的には病的状態の修復に資する標的分子が明らかされる可能性が期待される。 【研究成果】 (1)CD45の成熟B細胞株BAL-17における制御:未熟B細胞株WEHI-231において、蛋白質チロシンリン酸化、カルシウムイオンの動員、増殖抑制、アポトーシスの過程がCD45によりネガティブに制御されていることを報告していた。この研究で、BAL-17におけるCD45の制御を、CD45陰性クローンを用いて解析した結果、上記のいずれの過程をもポジティブに制御していることが明らかになった。このことは、細胞の分化段階の違いにより、CD45が異なる制御を行っていることを示唆している。 (2)CD45による基質の同定とその制御機構:WEHI-231のCD45陰性クローンにおいて、蛋白質のチロシンリン酸化が構成的に亢進した。このクローンを用いてCD45の基質の検索を行った結果、Src型チロシンキナーゼ(Lyn、Blk、Lck)およびSykキナーゼの中で、Lynのチロシンリン酸化だけが亢進し、その酵素活性も上昇していることが明らかになった。このことは、LynがCD45の選択的な基質になっていること、しかもLynのチロシンリン酸化とキナーゼ活性をCD45がネガティブに制御していることを示唆している。 その機構を解明するために、WEHI-231細胞とCD45陰性クローンを^<32>Pで標識した後、Lynをcyanogen bromideで切断し、SDS-PAGEで展開して自己リン酸化部位とネガティブ制御部位のリン酸化の程度を比較した。その結果、CD45陰性クローンでは両部位のチロシンリン酸化が抗原レセプター刺激以前に亢進していることが明らかになり、Lynの酵素活性は両部位のリン酸化のバランスにより制御されている可能性が示唆された。 (3)CD45により制御されるシグナル伝達経路:BAL-17とそのCD45陰性クローンを用いて、NAPキナーゼファミリーの活性化を比較検討した。その結果、CD45欠失によりERKの活性化が増強すること、JNKの活性化には著しい相違は見られないことが明らかになった。現在、p38の活性について解析している。また、WEHI-231におけるCD45による制御についても検討している。これらの解析により、分化段階の相違がCD45のMAPキナーゼ制御様式にどのような影響を与えているのかについての知見が得られるものと期待される。選択的な制御が行われていれば、その上流あるいは下流のシグナル伝達分子について解析を進めていく予定である。 (4)CD45以外のチロシンホスファターゼによるB細胞シグナル伝達の制御:B細胞抗原受容体刺激後に誘導されるチロシンホスファターゼ遺伝子をノーザン解析とサブトラクション法で検索したところ、すでにB細胞シグナルをネガティブに制御しいることが報告されていたSHP-1が捕まってきた。この酵素の作用機序を解明する目的で、SHP-1結合蛋白の同定を試みた。WEHI-231、BAL-17において、抗原レセプター刺激後にチロシンリン酸化される少なくとも3種類(150kD、110kD、75kD)の蛋白がSHP-1-GSTと結合すること、この結合は抗SHP-1抗体による免疫沈降後にも同様に認められることが明らかになった。さらに、結合分子中の75kDの分子はSH2領域を含む造血系の分子としてすでにクローニングされていたSLP-76であり、その結合は抗原レセプター刺激以前から認められることなどを明らかにした。現在、SHP-1に結合する他の蛋白の同定を急いでいる。
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