研究課題/領域番号 |
07044310
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
大津 元一 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (70114858)
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研究分担者 |
JHE Wonho ソウル国立大学, 理学部, 助教授
堀 裕和 山梨大学, 工学部, 助教授 (10165574)
北原 和夫 東京工業大学, 理学部, 教授 (20107692)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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キーワード | 近接場 / ファイバ / 顕微鏡 / 原子 / 誘導 |
研究概要 |
日本側の研究者全員がソウル国立大学を訪問(平成7年8月30日〜9月2日)し、相手側のJhe博士と全体構想、当面の問題点などについて議論した。さらに、堀 裕和(およびその研究協力者、学生)が再度訪問(平成7年12月11日〜12月16日)し、理論関係の詳細議論を行った。この他、Jhe博士の来訪時の討論、さらには日本側の研究者間の国内の討論を行った。これらにより以下の成果を得た。 (1)エバネッセント光の理論 大津はエバネッセント光の特性を評価するための近接場光学顕微鏡装置を開発した。まず、化学エッチング法により、ガラスファイバのコアを先鋭化し、その後金属膜を蒸着して開口を作成した。これにより、高分解能型(チップ寸法3nm)のプローブを実現することができた。これを用いて顕微鏡を動作させ、微粒子表面のエバネッセント光の寸法依存局在特性、偏光特性、などの基本特性を測定評価した。さらに、この顕微鏡の性能を表すシステム関数を測定し、空間分解能は0.8nmより良いことを推定した。一方、上記の化学エッチング法を修正して高感度型(光搬送効率10^<-3>)のプローブを作成し、光メモリ書き込み、光機能素子の実現の準備を行った。 Jheはミ-散乱の理論を元に、大津の取得したエバネッセント光の寸法依存局在特性、プローブと試料との間の共鳴効果を求めた。さらに、イメージ双極子法を用いて偏光特性を解析した。 北原は平面表面に励起された二つのエバネッセント光間の干渉により特殊偏光表面波が発生することを提案し、さらにその表面化学への応用を検討した。 堀は理論に必要な関数の球関数展開の方法を開発した。さらに、量子力学理論との対応により、近接場光学理論の適用可能な試料寸法範囲を明らかにした。 (2)原子の誘導実験 大津は中空ファイバ中のエバネッセント光による高真空中での原子の誘導を行うために、原子の閉じこめのためのポテンシャル特性を計算した。中空ファイバに導波モードの光を結合するための光学系、さらに、中空ファイバを透過した原子を検出するための光イオン化法装置を設計した。これらを総合してR6原子の誘導に成功した。使用した中空ファイバの内径、長さがそれぞれ7μm、3cmの時、250mWの導波モードパワーに対し、光の非使用時にくらべ20倍の原子が誘導された。各種パラメータに対する誘導効率の依存性を測定評価した。さらに、この方法の応用として、Rb原子の二つの同位体のなかから、特定の一つを分離して誘導することを実現した。 Jheは原子誘導実験の際に障害となる、中空ファイバ内壁の量子電気力学効果の大きさを推定した。これにより、実験装置の設計製作が可能になった。 堀はエバネッセント光と原子との共鳴相互作用を検証するためのドプラーフリー分光データを取得することができた。
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