研究課題/領域番号 |
07044312
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平木 昭夫 大阪大学, 工学部, 教授 (50029013)
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研究分担者 |
森 勇介 大阪大学, 工学部, 助手 (90252618)
八田 章光 大阪大学, 工学部, 助手 (50243184)
伊藤 利道 大阪大学, 工学部, 助教授 (00183004)
河東田 隆 東京大学, 工学部, 助教授 (90013739)
佐々木 孝友 大阪大学, 工学部, 教授 (50029237)
李 鍾武 仁荷大学校, 工学大学, 教授
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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キーワード | ダイヤモンド薄膜 / ヘテロエピタキシャル成長 / 半導体材料 / 電子放出素子 / バイアス核発生 / 超微粒子種付け / シリコン基板 / 電極形成 |
研究概要 |
本研究の目的は、半導体材料として優れた特性が期待されるダイヤモンドを従来の電気・電子材料や光学材料として応用するにあたり、必要不可欠な技術としてシリコンなどの異種基板上へのヘテロエピタキシャル成長を実現すること、また、その基礎研究としてダイヤモンド核発生過程を解明することである。ダイヤモンドの気相合成においては日本は先進的な研究を行い、これに対して多くの国が注目してきた。中でも韓国ではダイヤモンドを、近い将来極めて重要な電子デバイスを実現し得る材料であると予想し、多くの研究者が我が国との共同研究を関心を抱いている。本プロジェクトでは韓国におけるダイヤモンド半導体研究の現状を把握し、日韓両国のこの分野の研究を活性化するのに最適な共同研究のテーマを探り、ダイヤモンド研究における技術協力関係を確立することを目指す。 本年度の調査研究として平成7年10月16日から21日、研究代表者平木と分担者八田は韓国での半導体ダイヤモンドの研究の現状を視察した。はじめに韓国電子通信研究所(ETRI、日本の電子技術総合研究所に相当)を訪れ、ダイヤモンドを用いた薄型ディスプレイ開発のプロジェクトについて具体的な計画を聞いた。ダイヤモンドの電子放出特性についてはすでに大阪大学で詳細に調べられており、これらの研究成果を公開して電子放出素子の開発に役立てることになった。次に、ソウルで行われたアジアMRS国際会議に出席し、韓国を中心としたアジア諸国でのダイヤモンド研究に関する多くの報告を聞いた。最後に仁川市を訪問、本プロジェクトの中核となる仁荷大学、李教授との共同研究のテーマを具体的に絞り込むため、韓国内でのダイヤモンドの研究状況と日本の最近の研究の動向を基に計画を練った。 平成8年3月1日から5日にかけて研究代表者平木、分担者伊藤、八田、森と半導体ダイヤモンドの電極形成技術で最近多くの成果を報告している京都大学の村上教授、小出助教授を加えて計6名で、韓国のダイヤモンド研究の動向の調査と本プロジェクトの成果に関する研究会を行った。はじめに韓国で最も大きな規模でダイヤモンド研究を進めようとている済州大学を訪問、研究の動向と今後の日韓の協力関係の可能性について議論した。済州大学ではダイヤモンド基板の上にシリコンを成長させて集積回路の基板として応用するSOD技術の開発に重点を置いて研究を進める方針で、その中で大阪大学で成功しているダイヤモンド薄膜の低温合成技術を応用するべく協力することになった。次に仁川市の仁荷大学の李教授を訪れ、本プロジェクトに基づいて大阪大学と仁荷大学で実際に行った研究の成果について、内容の検討と公表の方法と時期などについて議論した。また、ダイヤモンドを半導体材料として利用するには電極形成技術が極めて重要な問題となることから、同分野で多くの成果を得ている京都大学の村上教授と小出助教授の講演を行い、現在までの問題点と今後の課題を明らかにした。また今後の、両氏を含めた日韓の研究協力体制を確立した。 本年度のプロジェクトの具体的研究成果として、大阪大学では種付け処理を用いたダイヤモンド薄膜の低温合成、マイクロ波プラズマCVDにおいて基板バイアスを用いた高配向ダイヤモンド薄膜の作製とそのプロセスの研究、高配向ダイヤモンド膜の物性評価、パルスプラズマによるダイヤモンドの低温高速成長、プラズマジェットを用いた高配向ダイヤモンド膜の高速成長などを行った。 これまでの他のグループが報告しているバイアス法による高配向ダイヤモンド膜の合成について大阪大学でも再現を確かめるとともに、核発生のプロセスを明らかにするため基板への電圧と電流の特性、その時間変化、プラズマと基板の間に形成されるシースの形状を詳細に調べ、核発生の最適条件を明らかにした。さらにこの方法で作製した高配向のダイヤモンド膜の物性についてカソードルミネッセンス、ラマン散乱分光によって調べた。一方、韓国仁荷大学の李教授のグループではダイヤモンド作製装置が準備できなかったため、大阪大学のECRプラズマCVD装置を利用する形で、大面積シリコン基板へのダイヤモンド核発生の研究を行った。これらの成果の詳細は各論文誌に発表している。
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