研究課題/領域番号 |
07045029
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
大久保 禎二 愛媛大学, 工学部, 教授 (80036235)
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研究分担者 |
谷脇 一弘 愛媛大学, 工学部, 助手 (60207199)
卜 小明 愛媛大学, 工学部, 教授
BU Xiaoming Faculty of Engineering, Ehime University
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1996年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | エネルギー原理 / 剛節骨組構造物 / 材料非線形性 / 最適設計法 / 感度係数なし / 射影勾配法 / 解析上の必要条件 |
研究概要 |
現在、構造物の設計を行う場合には、従来の許容応力度設計法に加えて、構造物の弾性域を越えた終局耐力や非線形挙動に対しても検討を行う必要があり、弾性域を越えた非線形挙動の領域にある構造物の各部材要素の最適な諸元を決定する方法論的研究が極めて重要な問題となっている。 本研究は、この問題に対して、材料の非線形性をも考慮した剛節骨組構造物の最適設計問題の解を、構造物の非線形挙動の感度係数を用いることなく極めて能率的に決定することができ、かつ、任意の応力-ひずみ関係を有する線形・非線形材料に対しても統一的に適用できる汎用的な線形・非線形剛節骨組構造物の最適設計法およびその設計プログラムを確立することを目的としている。 上記の研究目的を達成するため、平成7年度において次の研究を行った。 1. 研究代表者がこれまで研究し開発している最小コンプリメンタリーエネルギーの原理に基づく剛節骨組構造物の線形・非線形解析を統一的に行うことのできる解析法を用いて解析問題のラグランジュ関数を導入し、線形・非線形解析問題の解が満足すべき必要条件式群を導入した。 2. 1.で導入した剛節骨組構造物の解析上満足すべき必要条件を原最適設計問題に新たな制約条件として加え、さらに原設計変数である各部材の断面幅Bに加えて、各部材の部材端力Xおよび自由節点変位λをも独立な設計変数として考慮した新たな最適設計問題を定式化した。 3. 2.で定式化した最適設計問題の目的関数および制約条件式群を、ΔB、ΔX、Δλに関する線形な最適設計問題に近似した。この近似の最適設計問題を導入する場合に必要となる構造物の全コンプリメンタリーエネルギーおよび各部材応力度の部材端力に関する一次の偏微分係数の値は、構造物の解析時において求められる値を用いている。また節点変位の制約条件はλのみに関して線形近似を行っている。 4. 3.で定式化した線形近似の最適設計問題を射影勾配法により解き、B、X、λの改良解を決定した。 5. 上記の1.〜4.のB、X、λの改良プロセスを、目的関数およびB、X、λの値が一定値に収束するまで繰り返す最適設計プログラムを開発した。 6. 1.〜5.で開発した最適設計プログラムを用いて種々の設計問題を解き、最適解への収束性を向上させるための理論的な検討およびアルゴリズムの改良を行った。 続いて平成8年度においては次の研究を行った。 1. 平成7年度で開発した最適設計プログラムの最適化アルゴリズムの効率化について、引き続き種々の検討および改良を行い、最適設計プログラムを完成した。 2. 1.で開発した最適設計プログラムの信頼性および効率性を検討するため、各部材の断面幅Bのみを設計変数として考慮し、剛節骨組構造物の目的関数、各部材の応力度および各節点変位に関する制約条件のBに関する一次の感度係数を用い、近似の概念および双対法のアルゴリズムを用いて最適解を決定する最適設計プログラムを作成した。 3. 1.および2.で完成させた最適設計プログラムを用いて種々の線形・非線形材料よりなる剛節骨組構造物の最適設計問題を解き、両方法による最適解の比較を行った。 本研究により得られた主な結論は次の通りである。 1. 最小コンプリメンタリーエネルギーの原理に基づく剛節骨組構造物の線形・非線形解析問題の解が満足すべき必要条件式群は、構造物の全コンプリメンタリーエネルギーを各部材端力Xの二次形式で近似することにより、Xおよびλの単純な線形関数の条件式群として導入することができる。 2. 原設計問題の設計変数Bに加えて、Xおよびλをも独立な設計変数として考慮し、さらに線形・非線形解析問題の解が満足すべき必要条件式群をも制約条件として考慮することにより、構造物の挙動の原設計変数に関する感度係数を用いることなく、射影勾配法により極めて能率的にB、X、λの改良解を決定することができる。 3. 本研究で開発した最適設計法により、構造物の挙動の感度係数を用いる方法と比較して1/10以下の計算時間で極めて能率的に最適解を決定することができる。また、いかなる制約条件の設計問題に対しても安定して最適解を決定することができる。 4. 本研究で開発した最適設計法は、線形あるいは任意の非線形の応力-ひずみ関係を有する材料よりなる剛節骨組構造物の最適設計問題を、同一の最適設計プログラムで統一的に解くことができ、極めて汎用性を有する。
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