研究課題/領域番号 |
07045049
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
岡田 慶夫 滋賀医科大学, 医学部, 学長 (10106825)
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研究分担者 |
高 永波 吉林医学院, 講師
杜 培革 吉林医学院, 講師
山本 学 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (40230544)
吉武 一貞 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80108985)
高垣 勝 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10171414)
大久保 岩男 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80152073)
GAO Yongbo Assistant Professor, Jilin Medical College
DU Peige Assistant Professor, Jilin Medical College
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | DDPII / ヒト肝臓 / 感染種 / AAP / アミノ酸配列 |
研究概要 |
1.Dipetidyl peputidaseII(DPPII)はタンパク質やペプチドのN-末端に存在するLys-Alaという2残基の特異的なアミノ酸配列を特異的に認識して、これを遊離する酵素であり、種々の動物の臓器に存在し、タンパク質の分解や生理活性物質の不活性化に重要な役割を果していると考えられている。しかし、ヒトのDPPIIは未だ精製されておらず、またそのタンパク質レベルでの一次構造もcDNAも全く解析されていない。本研究では、ヒトの肝臓からDPPIIを精製し、そのアミノ酸配列などを含む生化学的特性を検討すると共に、DPPIIをコードするcDNAを単離して、ヌクレオチド配列を決定、それをもとに全アミノ酸配列を推定しようと以下の如くの計画を建てた。 (1)ヒト肝臓のDPPIIの精製:ヒト肝臓よりDPPIIをDEAE-SephacelやPhenyl-Sepharoseカラムを用いて精製する。 (2)ヒト肝臓のDPPIIの抗体の調製:家兎にDPPIIを免疫し、DPPIIに対するポリクローナル抗体を調製する。 (3)ヒト肝臓のDPPIIのN-末端のアミノ酸配列の決定:精製されたDPPIIのN-末端のアミノ酸配列を可能なかぎりの残基数決定し、cDNA構造決定時にDPPIIの同定に用いる。 (4)ヒト肝臓のDPPIIのcDNA構造の決定:ヒト肝臓および腸管のDPPIIのcDNAライブラリー(特に肝臓)を(2)で調製した抗体や(3)で得られたデータをもとに作成したヌクレオチドを使用して、スクリーニングする。DPPIIのcDNAが得られたら、そのヌクレオチド構造を決定し、その結果から全一次アミノ酸構造を推定する。 実際にはヒト肝臓入手の難しさもあり、まず(1)-(4)についての予備実験を主に行った。ヒトの精漿よりLys-Ala-MCAを基質として、DPPIIの精製を試みたところ、DEAE-Sephacel,Superdex200やPhenyl-Sepharoseカラムで電気泳動的に純品まで精製された。その生化学的特性をみると、その分子量は約140,000であった。また、精製された本酵素を用いて、N-末端のアミノ酸配列、40残基を決定した。更に、私共は同時に、抗体を調製し、この酵素の局在を調べたが、前立腺と精嚢の集合管に強く組織染色されることが明らかになった。しかし、基質に対する挙動とN-末端のアミノ酸配列、さらに前立腺由来のcDNAライブラリーより得られた本酵素をコードするcDNAの構造配列から、私共がDPPIIとして得た酵素は、表面上はDPPIIに極似してはいるが、実際はalahyl aminopeptidase(AAP)と呼ばれる酵素であることが明かとなった。この様に予備実験として行った実験は成功したが、ヒトの肝臓中に含まれるとされるDPPIIが、実際には肝臓に含まれない可能性が考えられた。現在ヒト肝臓の入手されるのを待っている段階である。尚、ラットの肝臓中にはDPPIIが含まれていることが、私共の実験でも明かであるという理由から、ヒト肝臓にDPPIIは存在すると考えられる。更に、予備実験の結果から、(1)-(4)に掲げた実験計画は充分遂行可能であると考えている。 2.口腔には常在する微生物の数が多く、またその種類も雑多であるため口腔領域の感染症はその起因菌を同定することが非常に困難で、治療に難渋し、急性炎症が慢性炎症に移行することも少なくない。 本研究では中国における口腔領域の感染症の起因菌を同定し、有効な薬物療法を検討すると共に、日本における口腔感染症との比較を試みた。 方法は吉林医学院口腔科に種々の感染症のため入院中の患者から口腔内の細菌を培養・同定し、各種抗生剤の感受性試験を行った。その結果、グラム陽性通性球菌であるStaphylococcus,Enterococcus,Streptococcusやグラム陽性嫌気性球菌のPeptococcus,Peptostreptococcusそしてグラム陽性通性桿菌であるCorynebadterium, Lactobacillus,Norcardia,Odontomyces,Bacterionemaなどが多く認められた。感受性試験ではセフェム系そしてペニシリン系の抗生剤に対する感受性が最も高く、以上の結果は過去に我々が当科において検討した結果とほぼ同様であった。今後、日本と中国の双方において、症例をさらに集積し、特に難治性の感染症に対する検討を重ねる予定である。
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