配分額 *注記 |
144,000千円 (直接経費: 144,000千円)
1998年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1997年度: 28,000千円 (直接経費: 28,000千円)
1996年度: 44,000千円 (直接経費: 44,000千円)
1995年度: 63,000千円 (直接経費: 63,000千円)
|
研究概要 |
1. 金属固体表面上の光励起によって生ずる金属イオンの反応について申請者らが開発した「レーザーアブレーション・分子ビーム法(LAMB法)」では多くの種類の新規な有機金属化合物および無機錯体イオンを生成させることが出来る。これらの中には分子構造的に興味深いものが多い。これらの構造を決定しようとするのが本研究の目的である。 2. 金属イオンM^+=Mg^+,Al^+,Mn^+,Co^+とアンモニア・水二成分クラスター(NH_3)_P(H_2O)_qとの反応によるM^+(NH_3)_m(H_2O)_nの生成反応について実験し、M^+の種類によって(1)選択的、(2)非選択的、(3)マジックナンバー的な配位(溶媒和)を得た。また、Klotsのevaporative ensemble理論にもとづく反応速度論的シミュレーションを行い、生成物イオンの実験的な分布をよく再現することができた。 3. 金属イオンM^+=Ti^+,V^+,Cr^+,Mn^+,Fe^+とCr(CO)_6との反応によって生じる混合金属ヘテロ二核カルボニルイオン[MCr(CO)_n]^+,n=4-6について密度汎関数法による計算を行い、最適化構造とエネルギーを計算し、実験結果とよく対応する結果を得た。 4. 低温希ガスマトリックス・フーリエ変換赤外分光(FTIR)分光法により、各種金属とCr(CO)_6らとを反応させた系、各種金属とベンゼンあるいはトルエンを反応させた系について赤外分光を行い、各金属錯体の構造を論じた。 5. Nd:YAGレーザーの2倍波と色素レーザー光の差周波によりナノ秒波長可変赤外レーザー光を発生させるシステムを構築し、メタノールクラスターイオン(CH_3OH)_4^-の赤外吸収スペクトルを測定した。 6. 中赤外部(10μmまで)の波長可変レーザー光を2台のリング色素レーザーを用い、AgGaS_2結晶による差周波発生法により得た。5,6ともにこれらを金属錯体イオンの中赤外光解離分光に使用しつつある。 7. イオントラップ装着三連四重極質量分析計を製作しベンゼンダイマーイオン(C_6H_6)_2^+およびベンゼン誘導体ダイマーイオン(C_6H_5X)_2^+の近赤外部における前期解離のアクションスペクトルを測定し、これらの構造を議論した。 8. 可視部のキャビティリングダウン分光装置(Nd:YAGレーザーでポンプした色素レーザーによるもの、及びCWリング色素レーザーによるもの)を構築し、ヨウ素の高分解能・高感度吸収スペクトルを測定してその性能を確認した。近い将来、赤外部の高反射率ミラーができれば、赤外部での測定も可能となる。
|