研究概要 |
法律文の言語解析を行なうための語彙的および文法的知識の自動獲得に関する研究を行なった.特に本年度は,動詞の語彙知識獲得に関する研究と日英対訳の法的文書からの機械翻訳知識の自動獲得の研究を行なった. 動詞の語彙知識獲得については,名詞と動詞の表層的な係受け関係を収集し,個々の動詞が持つ表層的な格パターンからその意味的な分類を行なうことが可能であることを示し,大量の解析済みの例文を用いて,動詞の意味分類と意味記述の付与の実験を行なった(発表文献3).また,得られた動詞の記述は解析時の曖昧性解消に有効であることが期待できるので,その有効性を評価するための解析環境の構築を行なった(発表文献4). 法律文は難解な表現が用いられるものの,構造的には厳格な表現が多いこと,また,固定的な表現が多用されるという特徴がある.本研究では,法的文書の日英対訳例を対象とし,翻訳文の自動対応付け,および,翻訳パターンの自動抽出の研究を行なった.具体的には文対応がついていない対訳例文集の文レベルの対応付けを自動的に行なう手法を開発した(発表文献1).また,文対応のついた日英対訳文を構文解析し,構造レベルでの対応付けの自動化を行ない,分野に特化した翻訳パターンの自動抽出を行なった(発表文献2).翻訳パターンの質の向上を図るため,構文解析前に統計的な手法により,句レベルの対応付けを行なう方法を提案した(発表文献5).
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