研究概要 |
一般法学とは,19世紀に主としてドイツにおいて台頭してきた法哲学上の一つの学派であり,法実証主義に属するものである。この学派は個別法学の総論の総論として,各個別法学に共通する基礎概念原理・原則を解明することを法哲学上の最も重要な課題であるとした。その研究方法論として,この学派はあらゆる思弁的なもの・形面上学的なものを排除し、実定法の認識のみにその研究を限定し,できるだけ学問的な厳密性を確保しようと試みた。すなわち、この学派は個別法分野の諸概念における共通概念・原理・原則を論理的に精製し体系化した。そしてこれらの共通概念・原理・原則の発達の一般的法則または一般的条件を探究した。 そこでドイツ一般的法学は我が国ではいまだ十分な研究がなされておらず,細部にわたる研究はまったくないといっても過言ではない。本研究ではとくにF.ショムロの主著である「法学原論」(第2版,1927年)を手がかりにドイツ一般法学における法概念の論理構造について検討した。といってもそれは実定法内部における法概論の論理構造の解明ではなく,社会的事実として存在する様々な規範様式内部における法概念の論理構造の解明である。ショムロの訂論はいままでに我が国では詳細に研究されたことがないが、この研究によって社会規範内部における法規範の論理的位置づけが明確にされた。
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