研究課題/領域番号 |
07206110
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
所 伸一 北海道大学, 教育学部, 助教授 (50133682)
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研究分担者 |
園田 貴章 佐賀大学, 教育学部, 助教授 (40171392)
桑原 清 北海道教育大学, 教育学部・札幌校, 助教授 (00178154)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1995年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 教育改革 / ロシア / 市場経済 / カリキュラム / 私立学校 / 能力主義 / ノヴォシビールスク / サハリン |
研究概要 |
【1】本研究はソ連崩壊後ロシアにおける教育の実態を把握するため、対象の柱を(1)社会・経済変動と学校政策への影響、(2)諸学校の経営の変動、(3)新カリキュラムの作成と授業実践、と設定し、文献研究に加えて、候補地としてモスクワ、ノヴォシビールスク、ユジノサハリンスクを選び委託調査を計画した。このうちモスクワとは連絡調整不調に終わったが、他の2地点では協力機関を得て、現地資料収集と委託調査を行うことができた。 【2】これらによって我々は次のような知見を得た。対象の(1)では、市場経済の浸透とかかわって個人の能力発掘のための学校形態の多様化の政策や、「良い成績を取って良い学校と就職をめざす」教育観の急速な広がりを認め得る。大学進学要求の上昇と理工系ばなれとが起きている。(2)については、新しい私立学校の中にはエリート的なものの他、旧コムソモ-ル(党指導下の青年同盟)が果たしていた実務人材の育成機能を担う地域のための専門学校・短期大学に相当する施設も生まれている。公立普通学校では、財源と教員の確保の不安定と、市街群部格差と共に同一市内でも大きな地域格差が生まれている。(3)については中央の計画に沿ってカリキュラムを編成することができる学校は2割にも達しない段階である。教育内容の選択肢拡大として有料の「お稽古ごと」程度の提供のために講師を雇い教室を貸している実状も存すること、等である。他方では、義務学校中退の青少年が急増しており、社会の中に「分裂感」が醸成されつつある。現在のロシアでは、学校に対する国の援助を打ち切る方向の改革は、生産活動と社会秩序を維持する上でもかなり危険であると思われる。 【3】我々は以上のような知見=研究成果を、九州教育学会(95年11月11日)及び北海道教育学会(96年3月16日)において中間的に公表した。また、備品予算の一部は計画を変更して翻訳資料集の印刷費に回した。
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