研究概要 |
本研究では、まずワールドモデル(World3)の構造を分析し,先史時代にそのまま応用できる部分の抽出を行なった。次に狩猟採集社会から農耕定住社会への移行に関する考古学・人類学関係の仮説を調べ,初期条件やシステムの構造を考え,プロトタイプ・モデルの作成を行った。 狩猟採集モデル,農耕モデル,両者の合成モデル,(Hassan 1981)に沿った改良モデルなどを開発し,シミュレーションを行い,狩猟採集社会から農耕定住社会への移行に関する複数の仮説を検証,その問題点を明らかにすることができた。とりわけ,(Hassan 1981)に沿った改良モデルでは,自然環境の変動も組み込み,高い再現性と汎用性を実証することができた。これらの成果について『考古学における計量分析-計量考古学への道(V)』(95年10月:文部省統計数理研究所),『シンポジウム-人文学科における数量的分析』(96年3月:同所),『第1回 日本情報考古学会』(96年3月:帝塚山大学)おいて発表し,現在,シミュレーション結果の詳細な評価やさらに必要とされるデータの検討,モデルの改良などを行っている段階にある。 また,現代のワールドモデルが社会学者,経済学者,環境科学者,システム分析家など,様々な研究領域にわたる学際的協力によりなされたことを考え,本研究では,次の段階として,これらプロトタイプ・モデルに関する情報をコンピュータ・ネットワーク上で公開し,多くの専門家の助言と指導,開発への酸化を呼びかけることを計画している。
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