研究概要 |
本研究は,日本近世期の文人に関する伝記研究,人的ネットワークの解明において,コンピュータを利用したデータ収集・整理・分析の方法を確立することを目的とした。 具体的には,まず,人名録データベースの基本的入力方法を決定することから着手し,数度に渡る会議,及びパソコン通信による会議を重ねて,A姓名(一般的名称)B姓C名(a諱b幼名c通称d字e号f俳号g狂号h画号i謚j源氏名k俗称zその他)D生地E住所F墓所G師H弟子I専門分野J職業K親の職業L父親M母親N生年月日O没年月日P享年Q著書R略歴S画像T配偶者U子供X典拠Y丁頁その他,というタグを決定した。 (古相代表者)国学・和学関係の伝記事項を入力した。また,同様に,江戸時代の人名辞典である『平安人物志』『浪華郷友録』『江戸当時諸家人名録』『江戸現在広益諸家人名録』などの資料を収集し,学生アルバイトを使って入力した。(鈴木分担者)『広益諸家人名録』初編(天保七年刊)を,初摺本に近いものをもって,csv形式でデータベース化した。それを基に,改竄目まぐるしい該書の書誌調査を全国各地に亙って行い,多くの板種を確認しえた。(高橋分担者)「姓氏録」のキャラクタ・データベース化がほぼ完成した。(波平分担者)『文雅便覧』(鈴木俊幸氏家蔵),および『虚栗』(わたや文庫本)のCSV形式によるデータベースが完成した。 もともと三年計画での研究であるため,作成データを公開できる段階には至っておらず,それをもとにした業績も発表できていない。しかし,今後とも分担者各自での作業とともに,全員での合議を重ねて行く事により,よりよい伝記データベースの作成,さらには,その効率的相関関係を表わす事のできるソフトの作成が行なえるものと思われる。
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