研究概要 |
中期インド・アリアン語の古文献(仏教とジャイナ教聖典等)は、現代文明の重要な源流の一つでありながらも、殆どの文献は死蔵された状態になっている。この言語の研究を飛躍的に進展させるためには、聖典の計算機解析が有効であると考えられている。 我々は、ジャイナ教聖典の3大韻律:Aksaracchandas,MatrachandasとGanacchandas、について研究してきた。これらの韻律はたいへん複雑な構造を持っていること、その量が膨大であることもあいまって手作業による解析は不可能である。我々の解析プログラムにより短時間で正確に解析でき、批判的校訂本作成に当たっての基礎資料を入手できることになる。韻律解析の研究を論文としてまとめた。 我々は、1994年までに、ジャイナ教聖典の5つの重要な聖典(Dasaveyaliya, Isibhasiyaim, Ayaranga, Suyagadamga, Uttarajjhaya)の最初の3冊については、その詩脚の順列と逆引き索引を求め、出版している。1995年には、第4、5番目の2つの聖典の詩脚の順列と逆引き索引を出版した。5冊の聖典の索引を求め終わったので、そのデータの有用性をより一層高めることと当該研究者からの要望により、5冊を1冊にまとめたもの(この中には数章の新批判的校訂本をも含む)についても詩脚の順列と逆引き索引を求め、出版した。 仏教研究には、ジャイナ教の研究が不可欠であると認識されている。仏教の聖典研究も、ジャイナ教原典研究と同様な研究事情にあるので、これまで開発した我々の計算機ツールを拡張して、仏教聖典解析にも適用できるようにした。それに基づき、最も基本的で重要な原典Dhammapadaの4つの索引(単語の順列と逆引き索引と詩脚の順列と逆引き索引)を求め、世界での仏教研究の中心的な機関の一つであるパーリ聖典協会より単行本として出版した。
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