研究概要 |
本研究の目的として(1)人文科学研究者からの要求を分析して,開発するソフトウェアに対する要求定義を行なうこと,(2)『推敲』のフォルダに対する操作として集合演算を実現することをあげていた。 1.人文科学とコンピュータ研究会において“日本語文章推敲支援ツール『推敲』の活用"のタイトルで発表し,『推敲』の普及に努めた。 『推敲』の機能と操作性に対して共感され,数人の研究者から「使用したい」との希望があり,ソフトウェア評価用として送付した.一方,WindowsおよびMachintosh上で動作する『推敲』の問い合わせが多く,これら計算機上で動作する版の実現が重要であることが判明した. 1.『推敲』の基本コマンドとして集合演算コマンドを新たに定義し,実現した. 『推敲』には,マクロコマンドと基本コマンドの二つのユーザインタフェースがあり,マクロコマンドは基本コマンドの組合せでできている.基本コマンドによる処理は,検索コマンドで抽出した文字列をフォルダに格納し,それを表示コマンドでディスプレイに表示する.フォルダに格納している文字列に対して操作を行なうことができれば,さらに有効な情報を抽出できる. これに関してまず,文章内の文字列を定義し,その文字列間に等号関係,順序関係,包含関係,同文関係,前後関係の五つの関係を定義した.さらに,これらの関係を使用して文字列の集合に関する和演算,積演算,差演算,同文積演算,同文差演算など11個の集合演算を定義した.さらに,フォルダ間の操作として上記11個の集合演算を『推敲』に実現した.これらの演算を使用することで,検索コマンドだけでは抽出できない情報を取り出すことができることを示した.
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