研究概要 |
大型国語辞典『電子ブック版 大辞林』(三省堂)の見出し語とそれに付されているアクセントを電子化テキストの形で抽出し,それらを品詞ごとに分けてそれぞれのアクセントの型の分布を調査したところ,次のような知見を得ることができた。 1.形容詞:2拍から9拍までのすべての形容詞(1,099語)のうち,語末から2拍目にアクセントの「滝」をもつものは85%にのぼる。また,アクセントの「滝」をもたないものは13%であり,これら以外のアクセントの型はすべて合わせても2%にすぎない。 2.動詞:2拍〜7拍までのすべての動詞(8,585語)のうち,語末から2拍目にアクセントの「滝」ものは65%である。アクセントの「滝」をもたないのは31%を占め,それ以外のアクセントの型をもつ動詞は全体の4%に過ぎない。 3.名詞:1拍〜20拍のすべての名詞(141,040語)のうち, (1)1拍語と2拍語では,第1拍にアクセントの「滝」もつものが多く,1拍語と2拍語全体の75%を占める。 (2)3拍語では,アクセントの「滝」をもたないものが最も多く,3拍語と4拍語全体の64%に達する(4拍語では72%がこの型)。 (3)5拍以上の名詞では語末から数えて3拍目にアクセントの「滝」をもつもの(全体の)と,語末から3拍目に撥音,促音,長音,二重母音といった特殊拍があるためにアクセントの「滝」が語末から4拍目にずれているものが,5拍以上の名詞全体の67%に達する。また,アクセントの「滝」をもたないもの17%あり,両者の合計は84%になる。 以上,現代日本語において品詞ごとに特徴的なアクセントの型と,それぞれの占める割合を得ることができた。
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