研究概要 |
具体的研究課題として,我々は,1.今回構築するデータベースのデータフォーマットをどのような形式のものにするか。2.石器の中でも最も多く出土している黒曜石を対象に,その剥離情報の特徴を包含したデータベース化手法に焦点を絞り,画像の精度,透明部の画像化,立体視等を実験的に検討していく。の2点を設定した。 1.近年,各研究機関で画像情報のディジタルデータの利用が行われてきている。しかしこれを阻害しているのがデータフォーマットの不統一と非公開である。我々はこのような観点から,データフォーマットの調査,検討を十分に行ったが,一意に決めることができなかったというのが,正直な結論である。フォーマットの問題は今後のデータベースの発展を見極めて,実践の場で確認し,知識を増やしていく必要があるのではないかを痛感した。なお、感覚的ではあるが,今後の利用状況を鑑み,圧縮技法,インターネットとの関連などを加味すると,"GIF"か"Apple photo-JPEG"等が妥当ではないか,という多少の見解は持つに至っている。 2.我々は剥離情報が得られるぐらいの精度での画像計測手法として,「立体視手法による高解像度三次元画像計測」と「モアレ手法による高精度三次元画像計測」を試みた。 その結果,前者においては,0.137mmの精度の画像計測ができた。また,三角測量法による立体視用等高線画像を得て,立体視が可能となった。後者においては前者より良い±30μmの精度の結果が得られた。しかし,両者とも,石の透明部については満足のいく計測結果は得られなかった。 1,2の調査・実験から感覚的に今後の研究につながる知見は得られたものと考えている。今後,透明部の画像化,具体化したデータベースの構築に向け推進していく。
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