研究分担者 |
梶原 健司 同志社大学, 工学部, 専任講師 (40268115)
伊藤 利明 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (60201927)
石森 勇次 富山県立大学, 工学部, 助教授 (20159784)
吉田 春夫 国立天文台, 助教授 (70220663)
広田 良吾 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00066599)
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研究概要 |
研究代表者は研究分担者と協力して平成7年7月下旬京都大学にて研究会「非線形可積分系による応用数理」を開催し,この研究費から一部の講演者や分担者の旅費を援助した.また,同志社大学において可積分系セミナーを毎週開催し,分担者を中心とする多くの研究者に講演旅費や専門的知識の提供のための謝金を支給した.以上の研究活動へのサポートを感謝する.つぎの5点で進展があった.いずれも今後の研究の方向を示す結果である. 1)戸田分子ヒエラルヒ-によるスティルチェス測度の可積分変形の研究を継続し,ガウス分布については,戸田分子が分布の平均の平行移動を,高次の戸田分子がオルンシュタイン・ウーレンベックの確率過程に一致する平均と分散の変形を記述することを見いだした. 2)代表者による可積分系のタウ関数によるBCHゴッパ復号化アルゴリズムの構造を考察し,ゴッパ多項式の満たすべき性質を直交多項式の零点を用いて明らかにした. 3)対称行列の固有値計算法のヤコビ法の連続極限の力学系が2重括弧のラックス型勾配系であることを示した.ヤコビ法の1ステップはこの可積分系の初期値から安定な平衡点への写像に他ならない.一方,代表者が1992年に発見したラックス型勾配系はヤコビ法のすべての無限小変形の「総和」とみなせることも確認した. 4)線形計画法のカ-マーカーの内点法の力学系とその一般化の解の挙動と平衡点の安定性を完全に分類した.初期値に依存して多くの安定な平衡点が存在することがわかった. 5)レーレー商に対する勾配系を考察し,線形構造を保存した勾配系の差分化を行って,任意に大きな差分ステップのもとで連続系の平衡点に正しく収束する非線形差分方程式を発見した.これにより対称行列の最大固有値を計算するアルゴリズムを開発した.
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