研究概要 |
一般超幾何型微分方程式は、多変数特殊関数の理論,ツイスター理論,等、様々な分野で現われ、重要な役割を果たしている。そして、この方程式を重要たらしめている理由の1つが一般超幾何型微分方程式の解空間がある種の多様体のRadon変換の像として表わされる、という事実である。本研究では、最も重要な対象の1つであるグラスマン多様体の上の超幾何型微分方程式を扱い、次の結果を得た. (1)rankrの複素グラスマン多様体上には、(r-1)個の超幾何型不変微分作用素が存在し、各次数は2j(2≦j≦r)である。次数2jのものをΦ_jと表わす事にする。すると超幾何型微分方程式Φ_su=0(2≦s≦r)の解空間KerΦ_sは、rank(s-1)の複素グラスマン多様体上のRadon変換R^r_Sの像として表わされる.即ち“ImRs=KerΦs"(R^r_Sは、rank(S-1)のグラスマン多様体から、rankrのグラスマン多様体へのRadon変換である)そして、上記の超幾何型微分作用素Φsの具体的な表示を得た。 (2)上記のrange theoremの応用として、Φsのradial partの具体的な表示、及び各既約な固有空間上でのΦsの固有値の具体的な表示を得た。ラプラシアンΔ及びΦs(2≦s≦r)がrankrのグラスマン多様体上の不変微分作用素のつくる代数の生成元を与えていることを考慮すると、これらの結果は、グラスマン多様体上の不変微分作用素の積分幾何学的特徴付けを与えている。 ranksからrankrのグラスマン多様体へのRadon変換の反転公式の具体的な形を得た。これはGrinbergの結果を大幅に改良するものである
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