研究課題/領域番号 |
07210216
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 増雄 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80013473)
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研究分担者 |
羽田野 直道 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70251402)
川島 直輝 東邦大学, 理学部, 講師 (30242093)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 指数演算子 / 高次分解 / 量子解析 / 量子モンテカルロ法 / ランダムボゾン系 / クラスターアルゴリズム / スピン-ボゾンモデル / トンネル効果 |
研究概要 |
指数積型の演算子の高次分解は高精度が要求される数値計算において重要だが、従来の方法では必ず負の係数が混ざってしまい、この部分が深刻な負符号問題を発生させるため、量子モンテカルロ法への応用は困難だった。鈴木は、分解後の演算子の空間を演算子間の交換関係まで含むものに広げると、この困難は解消できることを示した(論文1)。また、鈴木は坪井と共に、一般的な高次分解の係数をLyndon wordを用いて系統的に決める方法を開発した(論文2)。さらに鈴木は、交換関係を生成する超演算子を解析的に扱った新しい数学「量子解析」を構成した(Commun.Math.Phys.,Int.J.Mod.Phys.B,J.Math.Phys.に投稿中)。この枠組においては指数演算子があらゆる非可換な演算子を扱う際の基礎になっており、これを用いると、従来知られている指数積公式は簡単に導出できる。 指数積公式の量子モンテカルロ法への応用として、羽田野は、不純物ポテンシャル中のボゾンハバ-ドモデルの基底状態相図の構造を議論した(論文3)。任意次元で相図は同じ構造を持ち、特に密度を固定して斥力の大きさを変えるとリエントラント転移が起こることを示した。川島はGubernatisらと共に、古典スピン系のモンテカルロ計算では非常に有効とされるクラスターアルゴリズムを量子スピン系に拡張し、量子スピン系などへの応用を行ってきたが、その基礎的な側面(Fortuin-Kasteleyn変換の非可換演算子への拡張)を数学的に定式化した(論文4)。また、羽田野・鈴木は小林・寺井と共に、準安定状態にある微粒子における量子ゆらぎによる緩和の様子を、スピン-ボゾンモデルのシュレディンガー方程式を指数積公式を用いて数値的に解いて議論した(論文5)。スピンと結合したボゾン(微粒子中のフォノン)の数を増やしていくにつれてスピンの磁化の振幅は大きくなり、系は安定状態に到達できるようになる。
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